【連載企画】人的資本経営トップ対談 #11 「アワード受賞 人的資本レポートの裏側」
2025/10/20

エーザイCHRO 真坂晃之氏 × 法政大学教授 田中研之輔氏
今、「人的資本経営」が急速な広がりを見せています。本連載では、人的資本経営を牽引する業界のトップリーダーにスポットを当て、その実態に迫ります。
第11回のゲストは、エーザイ株式会社 執行役 チーフHRオフィサー(CHRO)・真坂晃之氏。同社は「キャリアオーナーシップ経営 AWARD 2025」でグランプリを受賞し、人的資本経営の先進企業として注目を集めています。 また、「Human Capital Report」を軸にした積極的な開示は極めて評価が高く、「人的資本リーダーズ 2024」および「人的資本経営品質 ゴールド 2024」に選定されました。(エーザイ様によるプレスリリース/2025年2月20日)
今回の対談では、今年で3年目を迎えた同レポートがどのように進化してきたのか、そして今後どこへ向かうのかを、法政大学・田中研之輔教授とともに紐解きます。
※エーザイ様の「HUMAN CAPITAL REPORT 2025」は、こちらからご覧ください。
ここが人的資本経営で、一番面白いところだと思っています。
田中氏:人事戦略と事業戦略の連動を強く意識されていますよね。おそらくここが中枢だと思うのですが、独自指標である「E-HCI」に関してお聞かせください。
真坂氏:コーポレートの戦略と人事戦略について、しっかりと連動させていくということは特に意識しています。しかしながら、まだまだ改善の余地があるのが実態です。今、コーポレートの戦略は「社会善」に基づき、「健康憂慮の解消」と「医療格差の是正」という2つの重要なテーマがあるのですが、これらを効率的に実現していくというのがそもそもの戦略の肝なのです。この「効率的に」というのが重要で、それらの実現のために開発したのが「E-HCI(エーザイヒューマンキャピタルインデックス)」と呼ばれる独自指標です。
「E-HCI」は、大きく分けて3つのカテゴリーに分かれております。まずはエンゲージメントスコアとその提出率、次に財務データである人的資本ROI、最後は柳モデルによる人財投資効率です(※柳モデル=当時エーザイCFOだった柳良平氏が確立したESGと企業価値をつなぐ方法論)。この3つを組み合わせたものが「E-HCI」なのですが、どれもがいわゆる人件費、すなわち給与に対する効率性を見ているものなのです。もちろんこれらは社会へのインパクトまで繋がっていきます。「これら3つを組み合わせることで、私たちが目指す「人的資本経営の効率性」というものをオリジナルに測ることができるのではないかと考えております。
田中氏:それは素晴らしいですね。その「E-HCI」は他の企業にも、転用ができるものなのでしょうか?
真坂氏:もちろん転用はできると思います。しかしながら、やはり根底はエーザイが人的資本経営として現時点で大切にしているものを集めたものが基盤となっています。その点ではやはりエーザイ独自ものですので、すべての企業にフィットするとは限りません。むしろ、それぞれの会社が大切にしていることを、オリジナルの指標で計測することで、「自分たちは、人的資本経営の中でここを大切にしている」と、高らかに謳うことができる。結果として、それぞれの人的資本経営が進んでいくことにつながる。実は、私はここが人的資本経営で、一番面白いところだと思っています―――。
→ぜひこちらから、対談の全編をご覧ください。
真坂晃之氏 プロフィール
エーザイ株式会社
執行役 チーフHRオフィサー(CHRO)
- (兼)コーポレートコミュニケーション担当
- (兼)サステナビリティ担当
- (兼)総務担当
- 2001年にエーザイ入社。MRとして開業医や大学病院販路を担当。
- その後、人事部、CEO秘書、海外事業(中国駐在含)などを経験。
- 2021年にチーフプランニングオフィサーとして執行役に就任。
- 2022年からCHROとして人的資本経営の推進による企業理念の実現に取り組んでいる。
田中研之輔氏 プロフィール
博士号 専門:キャリア開発 組織アナリスト
株式会社 キャリアナレッジ 代表取締役社長
一般社団法人 プロティアン・キャリア協会 代表理事
法政大学キャリアデザイン学部 教授
UC.Berkeley 元客員研究員/Melbourne University 元客員研究員
日本学術振興会 元特別研究員(PD:一橋大学/SPD:東京大学)
著書38冊・社外顧問 36社歴任
<著作リスト・一部>
『プロティアンシフト』(2023.5)
『社員がやる気をなくす瞬間』(2022.12)
『人的資本の活かしかた』(2022.8)
『キャリアワークアウト』(2022.7)
『今すぐ転職を考えてない人のためのキャリア戦略』(2022.4)
『新しいキャリアの見つけ方』(2022.1)
『プロティアン教育ー三田国際学園のキャリアエスノグラフィ』(2021.11)
『ビジトレー今日から始めるミドルシニアのキャリア開発』(2020.6)
『プロティアンー70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』(2019.8)
『教授だから知っている大学入試のトリセツ』(2019.3)
『辞める研修 辞めない研修ー新人育成の組織エスノグラフィー』(2019.3)
『先生は教えてくれない就活のトリセツ』(2018.7)
『ルポ 不法移民ーアメリカ国境を越えた男たち』(2017.7)
『実践するキャリアオーナーシップ』(2024.3)
『進化するキャリアオーナーシップ』(2024.3)
『キャリア・スタディーズ -これからの働き方と生き方の教科書』(2024.9)
『これからのキャリア開拓』(2025.6)
『グロースマネジャー』(2025.6)
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※本内容は、2025年8月時点の取材にもとづき掲載しています。



