- 生産性の低下
- 離職のリスクが増加する
ゆるブラック企業とは?定義やブラック企業との違いや改善方法を解説
2025/11/28

最近、「ゆるブラック企業」という言葉を耳にする機会が増えています。実は、残業が少なくハラスメントもない、一見するとホワイト企業に見える環境でも、優秀な若手社員が離職してしまうリスクを抱える、ゆるブラック企業化していることもあるのです。
この記事では、ゆるブラック企業の定義と、それが組織にもたらす影響について解説します。さらに、Adeccoの独自調査データを基に、若手社員のゆるブラック企業に対するリアルな声を紹介。企業が取り組むべき、“脱”ゆるブラック企業のための改善方法について提案しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
ゆるブラック企業とは?
一般的にゆるブラック企業とは、働きやすく居心地は良いが、仕事のやりがいや成長を感じられず、スキルアップやキャリアアップも難しい企業を指します。
ゆるブラック企業とブラック企業、ホワイト企業の違い
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一般的な特徴
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|---|---|
| ゆるブラック企業 | 明確な定義はないが、一般的に働きやすく居心地は良いが、仕事のやりがいや成長を感じられず、スキルアップやキャリアアップも難しい企業を指す |
| ブラック企業 | 明確な定義はないが、「労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す」「企業全体のコンプライアンス意識が低い」「このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う」などが特徴 |
| ホワイト企業 | 明確な定義はないが、「労働時間が妥当」「給与や残業に納得感がある」「人間関係がよい」といった特徴がある |
ゆるブラック企業の問題の本質は、残業やハラスメントといった労働環境の悪さではなく、社員のキャリアの停滞にあります。特にタイパ(タイムパフォーマンス)を重視しながら市場価値を高めたいと望む意欲的な若手社員にとって、「スキルが身に付かない」という状態は、重要な問題といえるでしょう。
時間を無駄にしているということを深刻な危機感として捉えると、大きな離職動機となり、貴重な人材の流出を招く結果につながってしまうのです。
ゆるブラック企業のリスク
ゆるブラック企業になると、組織の未来にどのような影響を及ぼすのでしょうか。具体的なリスクについて、詳しく見ていきましょう。
<ゆるブラック企業のリスク>
生産性の低下
「どうせ、がんばっても評価が変わらない」「成果を出しても新しい挑戦の機会がもらえない」といったあきらめムードが蔓延すると、社員のモチベーションは低下します。その結果、業務への集中力やコミットメントが低下し、組織全体の生産性が落ちるリスクになりかねません。
離職のリスクが増加する
市場価値やキャリアアップを重視する優秀な若手社員は、成長が見込めない環境にとどまることを嫌います。そのためゆるブラック企業はただ時間を浪費する場所と認識され、結果としてより成長機会が豊富で、自身の貢献が明確に見える企業へと流出してしまうリスクがあります。
【独自調査】ゆるブラック企業に対する若手社員の意識とは?
Adecco Groupでは2023年12月に、20代・30代の会社員を対象とした「ゆるブラックに関する独自調査」を行いました。この調査によって、若手社員が現在の勤務環境をどのように捉え、どのようなキャリア意識を持っているかが浮き彫りになっています。その一部をご紹介しましょう。
アンケートの結果について詳しくは下記のページでも紹介しています。気になる方はこちらも併せてご確認ください。
20代と30代の会社員および公務員・団体職員1,000人を対象にした「ゆるブラック」に関する調査
勤務先をゆるブラックだと感じる若手社員は約4割
勤務先を「ゆるブラック企業だと感じるか?」という質問に対して、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた若手社員は、約4割にのぼりました。これは、多くの企業が、一見ホワイト企業に見えても、若手社員にとって「物足りなさ」「成長の停滞」を感じる環境になっていることを示唆しています。
■現在の勤務先は、ゆるブラックだと思いますか?
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回答
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割合
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|---|---|
| そう思う | 10.3% |
| どちらかといえばそう思う | 31.6% |
| どちらかといえばそう思わない | 35.6% |
| そう思わない | 22.5% |
ゆるブラックだと感じる若手社員の約7割が、キャリア形成をあきらめている
ゆるブラック企業だと感じている若手社員のうち、キャリア形成について約7割が「どちらかといえば望めない」「望めない」と回答しています。スキルアップや昇給、昇進・昇格のいずれも「どちらかといえば望めない」「望めない」というマイナスな回答のほうが上回る結果となっています。
ゆるブラック企業では、「どうせこの会社では無理だ」「期待できない」という諦念が蔓延し、若手社員のポテンシャルが組織内で発揮されていない状態があると推測できるでしょう。
■現在務めているゆるブラック企業について
回答 |
スキルアップ |
キャリア形成 |
昇給 |
昇進・昇格 |
|---|---|---|---|---|
| 望める | 5.3% | 5.5% | 6.2% | 6.0% |
| どちらかといえば望める | 32.9% | 24.1% | 34.1% | 29.6% |
| どちらかといえば望めない | 41.8% | 44.9% | 41.8% | 40.1% |
| 望めない | 20.0% | 25.5% | 17.9% | 24.3% |
現在の勤務先をゆるブラックだと感じる若手社員の、約4割が転職を検討中
現在の勤務先をゆるブラックだと感じている若手社員のうち、約4割が転職を検討しています。このようにゆるブラックという状態が、若手社員の離職につながる可能性も十分にありえるのです。
■現在務めているゆるブラック企業を、1年以内に転職しようと考えていますか?
回答 |
割合 |
|---|---|
| すでに転職活動をしている | 11.7% |
| 1年以内に転職しようと考えているが、まだ活動はしていない | 29.4% |
| 1年以内に転職しようとは考えていない | 40.3% |
| わからない/考えたことがない | 18.6% |
ゆるブラックを脱却するための改善方法
ゆるブラックを解消し、若手社員の働きがいと成長を促すための組織づくりは、短期的な施策ではなく、経営戦略として企業が取り組むべきテーマです。ゆるブラック状態を改善する際には、下記のような方法を参考にしてみてください。
<ゆるブラックを脱却するための改善方法>
- 現状の組織課題を正確に把握する
- キャリア形成の仕組みを構築する
- やりがいと貢献感を高める仕組みを構築する
1. 現状の組織課題を正確に把握する
まずは、自社の状況を客観的に把握することから始めましょう。主な取り組みには下記が挙げられます。
<ゆるブラック度を確認できる主な取り組み>
取り組み |
内容 |
|---|---|
| エンゲージメントサーベイの実施 | 「成長機会」「仕事への貢献感」「上司からのフィードバックの質」など、働きがいに関する具体的な設問を含めたエンゲージメントサーベイの実施 |
| マネジメント層へのヒアリング | マネージャー層が部下の育成に十分な時間を割けているか、その際の課題は何かを把握する |
| 若手社員との対話 | 匿名性を担保したうえで、若手社員が「この会社で成長できるか」について本音で語れる場を設ける |
エンゲージメントサーベイについて、詳しくは下記ページでも解説しています。
エンゲージメントサーベイとは?導入メリットと調査のポイントを解説
2. キャリア形成の仕組みを構築する
ゆるブラック企業の特長の一つに、キャリアアップやスキルアップが望めないというものがあります。キャリア形成の仕組みを整えることで、こういった不満を緩和することができるでしょう。キャリア形成の仕組みを構築する取り組みには、下記のようなものが挙げられます。
<キャリア形成の仕組みを構築する取り組みの例>
取り組み |
内容 |
|---|---|
| 目標設定の見直し | 達成度だけでなく、能力開発の目標を必ず含めた目標を設定し、上司がコーチングを通じてサポートする仕組みを構築する |
| 教育研修制度の充実 | 全社員が自由に受けられるスキルアップ研修を用意し、キャリア開発のための外部セミナー受講を積極的に奨励する |
| 社内公募制度・ジョブローテーションの活用 | 既存の枠を越えて、若手社員が新しい分野に挑戦できる機会を制度化する |
3. やりがいを高める仕組みを構築する
仕事のやりがいが感じられないというのも、社員が「ゆるブラック企業だ」と感じてしまう原因の一つです。働きやすさに着目されることが多いですが、「働きがい」を感じられるような仕組みや環境づくりも非常に重要です。
社員自身が働きがいを感じられる取り組みとして例えば下記のようなものが挙げられます。
<やりがいを高める主な取り組み>
取り組み |
内容 |
|---|---|
| フィードバック文化の醸成 | 成果が出たときだけでなく、成長プロセスや、挑戦する姿勢そのものにも感謝や評価の言葉をかける文化を根付かせる(特に1on1では、業務の話だけでなく、キャリアビジョンについての対話を重視する) |
| 仕事の目的を伝える | 従業員一人ひとりの業務が、会社のパーパス(存在意義)や最終的な顧客価値にどうつながっているかを、繰り返し伝える |
| 成果の見える化 | 部署の垣根を越えて、社員の成功事例や貢献内容を全社に共有する場を設ける |
“脱”ゆるブラックには、働きがいと成長を促すための組織づくりが不可欠
若手社員の流出を防ぎ、組織の活力を維持するためには、働きやすさという環境の提供だけにとどまらず、成長機会と貢献実感を提供する組織づくりが不可欠です。
組織の活力を回復させるには、若手社員が「自分の仕事が未来につながっている」と実感できるような、具体的で挑戦的な目標設定と、そのプロセスを支えるマネジメントへの投資が求められます。彼らのポテンシャルを最大限に引き出す文化こそが、企業の持続的な成長につながる戦略となるでしょう。


