このページでわかること
特定技能「木材産業」とは?制度の目的や人手不足の現状
特定技能「木材産業」は、2024年4月に特定技能制度の対象分野に追加された分野です。木材産業では就業者数の減少や若年層の不足が課題となっており、木材供給量の目標達成に向けて、即戦力となる外国人材の受け入れが必要とされています。
特定技能「木材産業」の概要
特定技能「木材産業」では、製材業や合板製造業などに係る木材の加工等に従事できます。令和6年度から5年間の特定技能1号の受け入れ見込み数は4,500人で、2026年5月時点では特定技能1号のみでの受け入れが行われています。
特定技能「木材産業」の在留資格を取得する方法
特定技能「木材産業」の在留資格を取得するには、木材産業特定技能1号測定試験や日本語能力に関する試験に合格する必要があります。また、木材加工職種(機械製材作業)の技能実習2号を良好に修了している場合は、所定の試験が免除される場合があります。
特定技能「木材産業」で外国人材を受け入れる際の注意点
木材産業分野で特定技能外国人を受け入れる際は、受け入れ機関が満たすべき基準や、受け入れ後に企業が対応すべき事項を確認しておくことが重要です。協議会への加入や各種届出、関係法令の遵守などが求められるため、制度を正しく理解したうえで受け入れ体制を整えましょう。
特定技能は、深刻な人手不足に対応するために設けられた在留資格制度です。2024年に新たな対象分野として「木材産業」が追加され、関連する業務で外国人労働者を雇用できるようになりました。人手不足に悩む木材産業の事業者にとって、この制度は有力な解決策のひとつとなっています。
本記事では、特定技能「木材産業」の概要や人手不足の現状をはじめ、外国人労働者を雇用するメリットや、具体的な方法、注意点まで詳しく解説します。人手不足でお困りの木材産業の事業者の方はぜひ参考にしてください。
特定技能「木材産業」とは?制度の目的や人手不足の現状
木材産業分野は、現在深刻な人手不足が課題となっている業界のひとつです。政府が掲げる「森林・林業基本計画」に基づく競争力の強化や、「花粉症対策の全体像」に基づいて行うスギ材需要の増加への対応を推進していくためには、木材産業分野が持続的に発展していくことが欠かせません。
しかし実態を見ると、木材・木製品製造業の就業者数は減少の一途をたどっています。平成22年には約12万3,000人いた就業者が、令和2年には約10万3,000人まで落ち込んでいます(※出典参照)。
令和6年度の有効求人倍率は全産業平均の1.25倍を大きく上回る2.61倍に達しており、人材確保は極めて厳しい状況にあると言えるでしょう。加えて、35歳未満の若年層の割合が他業種と比べて低い水準にとどまっており、将来的な担い手不足も深刻な懸念材料となっています。
需要面においても、政府は令和12年の木材供給量目標を4,200万㎥に設定しており、その達成には令和10年度時点で約13万6,000人の就業者が必要とされています。一方で、現状の見通しでは令和10年度に5万9,200人の人手不足が生じると見込まれており、供給目標の達成に向けた労働力確保は急務となっています。
業界内では工場の大規模化や集約化、働き方改革、安全対策の強化といった生産性向上や国内人材確保に向けた取り組みも進められています。しかし、効率化や国内人材の確保だけで必要な労働力を十分に補うことには限界があります。
こうした背景から、木材加工などの専門的な技能を持ち、即戦力として活躍できる外国人材の受け入れが必要不可欠であると判断され、特定技能の対象分野に木材産業が追加されました。
※2026年7月時点では、特定技能1号のみでの受け入れが行われています。
出典:法務省「木材産業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」
特定技能制度そのものは2019年にスタートしましたが、「木材産業」が対象に加わった2024年4月には、「自動車運送業」・「鉄道」・「林業」の各分野も新たに追加されました。
そもそも「特定技能」とは?
「特定技能」とは、日本の深刻な人手不足に対応するために創設された在留資格であり、一定の専門性や技能を有する外国人材を即戦力として受け入れることを目的とした制度です。
人手不足が慢性化している業界にとっては、重要な人材確保の手段のひとつといえるでしょう。
「特定技能」について、以下で詳しく解説します。
特定技能の概要
日本で外国人が就労するには、就労が可能な在留資格を取得する必要があります。在留資格には複数の種類があり、特定技能はそのうちの一種です。
特定技能制度は、人材の確保が特に困難な状況にある特定産業分野で、一定の専門性・技能を有する外国人材の受け入れを促進するために国によって創設されました。受け入れ側にとっては、即戦力の人材を雇用できる点がメリットです。
特定技能人材の受け入れが可能な分野
現在、特定技能の対象分野は19分野ですが、一部分野は受け入れ開始に向けた準備段階にあります。以下では、現在既に受け入れが行われている16分野を紹介します。
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 自動車運送業
- 鉄道
- 林業
- 木材産業
上記分野のうち「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野は2024年に追加されました。
また、2026年1月23日には「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野の新たな追加が閣議決定され、これにより特定技能制度の対象業種は19分野となりました。これら追加された3分野については、現在受け入れ開始に向けた準備段階にあり、関係省令等の準備が整い次第、受け入れが可能となる予定です。
※2026年7月時点では、「外食業」は新規受け入れが一時的に停止されています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
特定技能は制度の見直しや分野の追加がたびたび行われているため、最新情報は常にチェックしましょう。
特定技能1号と2号の違い
特定技能の在留資格は、1号と2号に分類されます。
特定技能1号は、原則として技能水準と日本語能力を確認する試験に合格し取得できます。また、技能実習を良好に修了し取得する方法も存在しますが、技能実習を良好に修了した場合でも、特定技能へ試験免除で移行できるのは、対応する職種・作業が定められている分野に限られます。新たに追加された分野については、技能実習との対応関係が整備されていない場合があり、その場合は所定の試験への合格が必要です。
特定技能1号の在留期間は通算で5年までです。配偶者や子といった家族の帯同は原則として認められていません。
また、特定技能1号の受け入れ機関は、1号特定技能外国人支援計画を作成し、計画に基づいたサポートを行わなければならないとされています。
一方で、特定技能2号は、1号より高い技術力が必要な検定や実務経験により取得できます。2号は在留期間の上限がなく、要件を満たせば配偶者・子の帯同が許可されます。1号と異なり、2号は受け入れ機関による支援の対象外です。
2024年に追加された自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野では、現時点では1号のみ受け入れ可能とされています。ただし、元々1号のみだった他分野で2号取得が可能になった例もあるため、制度の見直しにより、今後追加されることも予想されます。政府から発信される最新情報を確認しましょう。
なお、介護分野は移行先として「介護」の在留資格が個別に設定されています。
特定技能「木材産業」の概要

木材産業とは、林業によって生産された原木を加工して、製材や集成材、合板、木材チップなどの木材製品を製造・販売する産業です。特定技能制度における「木材産業」分野の概要について、以下で詳しく紹介します。
特定技能「木材産業」で従事できる業務
特定技能「木材産業」の在留資格で従事できる業務は、「製材業、合板製造業等に係る木材の加工等」と規定されています。これは木材を製品として仕上げるための一連の加工作業が中心となります。
また、主たる業務に関連する付随的な業務についても、日本人が通常従事している範囲であれば従事することが認められています。具体的には、原材料の調達・受け入れ、製品検査、製品の出荷、そして作業場所の整理整頓・清掃などが該当します。
木材加工の現場では、こうした周辺業務も円滑に担える人材が求められており、特定技能外国人はこれらを含めた幅広い業務で即戦力として活躍できるでしょう。
特定技能「木材産業」での受け入れ見込み数・運用期間
2026年5月時点では、特定技能1号における木材産業分野の受け入れ見込み数は令和6年度から5年間で4,500人とされています。
さらに、2027年度からの開始が予定されている育成就労制度においては、木材産業分野で2,200人の受け入れを見込んでいます。特定技能1号と育成就労制度を合わせると、分野全体での受け入れ見込み数は6,700人に上る計算です。
木材産業における人手不足の深刻さを踏まえると、外国人材の活用は今後ますます重要な位置づけになるといえるでしょう。受け入れ数の枠や制度の動向を正確に把握しておくことが、採用計画を立てるうえで欠かせません。
出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」
技能実習制度や育成就労制度での木材産業分野の扱い
現行の技能実習制度には、特定技能の木材産業分野に関連する職種・作業として「木材加工職種(機械製材作業)」が設けられており、1号と2号の区分があります。この木材加工職種(機械製材作業)2号を良好に修了している場合、特定技能の資格取得に必要な所定の試験や日本語能力試験が免除される仕組みとなっています。
ただし、技能実習制度はすでに廃止が決定しており、2027年度からは新たに「育成就労制度」が開始される予定です。育成就労制度は、特定技能に相当する人材を育成・確保することを目的とした制度として位置付けられており、技能実習制度の後継にあたる重要な制度変更といえるでしょう。
育成就労制度においても、木材産業分野が対象として設けられています。制度全体の方針や運用要領は2026年1月23日に公表されましたが、木材産業分野の詳細については今後林野庁ホームページで随時公表される見込みです。
制度の詳細は今後も順次更新されていくため、育成就労制度での外国人労働者の受け入れを検討している事業者は、林野庁や関係省庁の最新情報を継続的に確認しましょう。
技能実習制度と育成就労制度の違いや移行の詳細については、以下のあわせて読みたいも参考にしてください。
特定技能「木材産業」の在留資格を取得する方法
特定技能「木材産業」の在留資格を取得するためには、定められた要件を満たしたうえで、所定の手続きを踏む必要があります。以下では、取得に向けた具体的な方法をそれぞれ詳しく解説します。
所定の試験および日本語能力の検定に合格する
特定技能外国人として木材産業分野で働くためには、所定の試験に合格することが必要です。試験区分は大きく「技能水準」と「日本語能力」の2つに分かれており、それぞれ定められた基準を満たさなければなりません。
技能水準については、「木材産業特定技能1号測定試験」への合格が求められます。日本語能力については、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」、もしくは「日本語教育の参照枠」におけるA2相当以上の水準と認められるものへの合格が条件となっています。
これらの試験は、現場で安全かつ円滑に業務を遂行できる基礎的な能力を確認するためのものです。受け入れを検討する企業側も、対象となる外国人材がこれらの要件を満たしているかどうかを事前に確認しておくことが重要でしょう。
技能実習2号を良好に修了する
木材加工職種(機械製材作業)の技能実習2号を良好に修了している場合、必要な技能水準や日本語能力を有していると認められ、通常であれば必要となる所定の試験および日本語能力試験が免除されます。
ここでいう「良好に修了している」とは、技能実習を2年10ヶ月以上修了していることに加え、以下のいずれかの条件を満たしていることをさします。
- 技能検定3級、または技能検定3級に相当する技能実習評価試験に合格している
- 技能実習生に関する評価調書がある
試験免除は外国人材にとって特定技能への移行ハードルを大きく下げるものであり、受け入れ企業にとっても即戦力となる人材を確保しやすくなるという点で大きなメリットがあります。技能実習2号を修了した人材の受け入れを検討する際は、上記の条件を満たしているかどうかを事前にしっかり確認することが重要です。
特定技能を取得するために外国人本人が満たすべき要件
特定技能の在留資格を取得するにあたって、外国人本人が満たさなければならない要件がいくつか存在します。まず、対象となる分野ごとに設けられた技能評価試験などに合格していることが必要です。
木材産業の場合は、木材産業特定技能1号測定試験への合格が求められます。また、日本語能力についても一定の基準をクリアしていることが条件となっており、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」のいずれかに合格していなければなりません。
なお、技能実習2号を良好に修了した外国人については、これらの試験が免除される場合があります。さらに、18歳以上であること、保証金の徴収や違約金契約といった不当な拘束を受けていないことなど、基本的な要件も確認が必要です。
これらの要件を全て満たしてはじめて、特定技能の在留資格申請が可能となります。
特定技能「木材産業」で外国人材を雇用するメリット

特定技能制度を活用して木材産業に外国人材を受け入れることには、さまざまなメリットがあります。人手不足の解消はもちろん、長期的な戦力として事業を支える存在になり得る点も見逃せません。
以下では、具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。
一定水準以上の技能が証明されている
特定技能外国人は、所定の試験および日本語試験に合格することで在留資格を取得しています。つまり、採用の時点で一定水準以上の技能と日本語能力が公的に証明されているという点が、大きな特徴です。
木材産業の現場では即戦力となる人材を求める声が多く、入社直後から業務に対応できる水準の人材を確保できることは、受け入れ企業にとって大きなメリットといえるでしょう。技能実習制度とは異なり、基礎的なスキルを持った状態でスタートできるため、教育・研修にかかる初期コストや時間を抑えられます。
事業所ごとの受け入れ上限設定がなく、幅広い業務に従事できる
特定技能制度では、事業所ごとの受け入れ人数に上限が設けられていないため、企業の規模や状況に応じて柔軟に外国人材を活用できます。また、従事できる業務の範囲も広く、木材産業における多様な現場ニーズに対応しやすい点が魅力です。
ただし、受け入れ可能な人数は分野全体で上限が設けられており、上限に達した場合には新規受け入れが停止されることがあります。実際に、特定技能「外食業」分野では受け入れ見込み数の上限に達する見込みとなったため、2026年4月13日から新規受け入れが原則として停止されています。
木材産業においても、今後の受け入れ状況や制度の動向を継続的に確認・把握しておくことが重要です。
特定技能「木材産業」で外国人材を受け入れる際の注意点
特定技能制度を活用して木材産業分野で外国人材を受け入れる際には、事前に把握しておくべき制度上のルールや、実務面でおさえておくべき重要なポイント・注意点があります。制度を正しく理解したうえで適切な体制を整えることが、受け入れを成功させるための第一歩となります。
以下では、受け入れをスムーズに進めるために、特に押さえておきたいポイントを解説します。
在留期間が決まっている
2026年5月時点で、木材産業分野における特定技能の受け入れは1号のみとなっています。特定技能1号の在留期間は通算5年が上限であるため、現行制度のままでは5年を超える長期雇用はできません。まずは、最長5年という制限を前提とした採用や育成の計画を立てる必要があります。
ただし、特定技能制度は見直しが行われており、過去にはほかの分野で特定技能2号(在留期間の更新上限がなく、実質的な長期雇用が可能)が後から追加されたケースもあります。木材産業分野も今後2号の受け入れが可能になる可能性が十分に考えられるでしょう。
2号への移行が認められれば、在留期間の更新回数に上限がなくなり、実質的に長期雇用が実現しやすくなります。
制度の変更は随時行われるため、最新情報を常にチェックするようにしてください。
特定技能受け入れ機関の基準
木材産業分野において特定技能外国人を受け入れる機関(特定技能所属機関)は、当該分野特有の事情を踏まえた措置を講じることが求められています。以下で、受け入れ機関が満たすべき基準を紹介します。
- 農林水産省が設置する特定技能の協議会の構成員になること
- 特定技能の協議会において協議が調った措置を講じること
- 特定技能の協議会に対し、必要な協力を行うこと
- 農林水産省またはその委託を受けた者が行う調査等に対し、必要な協力を行うこと
- 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するにあたっては、農林水産省および特定技能の協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること
- 特定技能外国人が業務に従事する事業所が、日本標準産業分類に掲げる特定の産業を行っていること
これらの基準は、木材産業分野の健全な発展と外国人材の適切な就労環境を確保するために設けられています。特に協議会への加入と協力義務は、分野全体の情報共有や制度の適正運用に欠かせない要件です。
また、特定技能外国人を受け入れられるのは、日本標準産業分類上で定められた対象の産業分類に該当する事業者に限られます。受け入れを検討する機関は、自社の事業が対象となる産業分類に該当するかどうかを事前に確認しておくことが重要です。
これらの基準を満たした上で、適切な受け入れ体制を整えることが、外国人材との長期的な信頼関係の構築にもつながるでしょう。
出典:法務省「木材産業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」
特定技能外国人の受け入れ後に企業が遵守するべき義務
特定技能外国人を受け入れた後も、企業にはさまざまな義務が課せられています。
例えば、1号特定技能外国人支援計画に基づく支援の実施や、各種届出、関係法令の遵守などが求められます。これらの義務を怠った場合は、行政指導や改善命令などの対象となる可能性があります。
木材産業分野においても、制度を正しく理解し、適切な受け入れ体制を整えることが重要です。
受け入れ企業の義務や注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
木材産業は今後も需要が見込まれる業界である一方、後継者不足をはじめとするさまざまな要因から、深刻な人手不足が予想されています。こうした状況を受け、労働力確保を目的とした特定技能制度において、2024年に木材産業分野が新たに追加されました。
2026年7月時点では、特定技能1号の受け入れが可能となっています。
木材産業分野で特定技能外国人の雇用を検討しているのであれば、制度の規則や受け入れ企業に求められる対応、各種届出といったルールをしっかりと把握しておくことが不可欠です。必要な対応や届出を怠った場合、指導や改善命令などの対象となるリスクがあります。
はじめて特定技能外国人を受け入れる場合は、制度の複雑さから対応に戸惑うケースも少なくありません。そのため、専門的な知識を持つ機関へ相談することが、スムーズな受け入れにつながるでしょう。
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