【令和5~7年】入管法改正の内容をわかりやすく解説!現行の問題点とは
2025/11/14

入管法は、外国人本人だけでなく、外国人労働者を雇用する事業者にとっても常に最新情報を把握しておきたい法律です。
令和5年には大きな改正があり、一部はすでに施行されています。また、令和6年6月14日には新たな在留資格の創設を中心とする法律が成立しました。
さらに、令和7年以降も有識者会議が開かれており、特定技能制度および育成就労制度にかかる基本方針と分野別運用方針の案が提示されています。
本記事では、入管法の改正や各方針案に関する情報を解説します。
この記事の目次
入管法(出入国管理及び難民認定法)とは
入管法は正式名称を「出入国管理及び難民認定法」といいます。日本に入国する人・日本から出国する人全ての出入国の管理および難民の認定手続きに関する法律です。
入管法に定められている主な内容は以下のとおりです。
- 在留資格の変更手続き
- 在留期間の更新手続き
- 在留カードの交付手続き(在留審査手続き)
- 法務大臣に対する住居地や氏名などの変更の届出
- 在留資格の取消しの手続き
- 不法残留等の外国人に対する手続き(退去強制手続き)
- 不法残留等の外国人に関する通報
在留資格者や非正規滞在外国人の現状と法律の問題点
出入国在留管理庁の発表によると、令和6年末の在留外国人数は376万8,977人です。在留外国人は年々増えており、前年度末と比較すると10.5%(35万7,985人)増で、過去最高を更新しています。
一方、非正規滞在外国人のうち、在留期限が過ぎても日本に残っている外国人(不法残留者)の人数は、令和6年7月1日時点で7万7,935人です。令和6年1月1日時点よりも1.5%(1,178人)減少しているものの、少ない数字ではありません。
不法残留者の増加に対し、現行の入管法で対応が難しい事象や不透明な点、法の不整備などが問題視されており、たびたび改正が行われています。
外国人労働者が増加している背景や、受け入れに伴う課題は以下の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
関連記事:日本の外国人労働者はなぜ増加しているのか?その理由や受け入れに伴う課題などを解説※出典:出入国在留管理庁「令和6年末現在における在留外国人数について」
※出典:出入国在留管理庁「本邦における不法残留者数について(令和6年7月1日現在)」
近年の入管法改正
令和5年に「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律」が成立しました。
施行日は内容により異なります。一部は令和5年12月1日、残りは令和6年6月10日から施行されました。令和5年の改正内容は次項で詳しく解説します。
入管法は、時代の変化とともに過去にも改正を重ねています。平成20年代以降に行われた改正は以下の内容です。
- 平成21年改正
在留カード・特別永住者証明書の交付など新たな在留管理制度の導入、外国人登録制度の廃止、在留資格「技能実習」の創設、在留資格「留学」と「就学」の統合、入国収容所等視察委員会の設置 など - 平成26年改正
在留資格「高度専門職」の創設、船舶観光上陸許可の制度の創設、自動化ゲート利用対象者の拡大、在留資格「技術」と「人文知識・国際業務」の統合、在留資格「投資・経営」から「経営・管理」への変更、PNRに係る規定の整備 など - 平成28年改正
在留資格「介護」の創設、偽装滞在者対策の強化のための罰則・在留資格取消事由の整備 など - 平成30年改正
在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設 など
出典:出入国在留管理庁「最近の入管法改正」
令和5年(2023年)入管法改正の内容
令和5年の入管法改正の基本となる考え方は以下の3点です。
- 送還忌避問題の解決
- 収容を巡る諸問題の解決
- 保護すべき者を確実に保護
各ポイントを解説します。
送還忌避問題の解決
入管法上の強制退去事由に該当すると日本から退去させられますが、退去を拒否する外国人(送還忌避者)も存在します。
難民認定手続き中は送還が一律で停止されるため、申請を繰り返すことで退去を回避する方法が問題視されていましたが、改正により3回目以降の申請は例外として停止措置がとられないよう変更されました。
ただし、「難民等と認定すべき相当の理由がある資料」を提出すれば、3回目以降でも送還は停止されます。
また、退去を拒む・送還妨害行為におよぶなど送還が特に困難な外国人に対する罰則付きの退去等命令制度が創設されました。
このほか、不法滞在を摘発された外国人が自発的に帰国した場合の上陸拒否期間が5年から1年に短縮されています。
収容を巡る諸問題の解決
退去すべき外国人は逃亡防止のため収容施設に入る決まりでしたが、施設内で問題が生じるケースもありました。健康上の問題・拒食・治療拒否などです。
改正により、監理人の管理の下で退去強制手続きを進めるための措置が創設されました。また、外国人の健康に配慮すべきとする内容が明記されたほか、以下の適切な処遇の実施も定められました。
- 常勤医師の兼業禁止を緩和
- 強制治療に関する規定(拒食対策)
- 制止要件の明記
- 3ヶ月ごとの健康診断
- 職員への人権研修の実施 など
国内外での人権を尊重する意識の高まりから、入管法においても外国人の人権を今まで以上に尊重する改正がなされました。
出典:出入国在留管理庁「入管法等改正法の概要等」
保護すべき者を確実に保護
難民条約では、以下のいずれかに該当し、迫害を受けるおそれがなければ難民とは認められません。
- 人種
- 宗教
- 国籍
- 特定の社会的集団の構成員である
- 政治的意見
特に現在では、ロシアとの紛争が続くウクライナからの避難民を受け入れていますが、紛争避難民は難民条約上の条件に必ずしもあてはまるわけではありません。
改正により、紛争避難民をより確実に保護するための制度として「補完的保護対象者」認定制度が設けられました。申請手続きの創設や難民認定制度の運用の見直しが行われ、難民に対する適切な配慮がなされるようになりました。
令和6年(2024年)入管法改正の内容
入管法は令和6年6月14日にも改正する法律が成立し、同月21日に公布されました。
技能実習制度や特定技能制度の課題を踏まえ、新たに「育成就労」と呼ばれる在留資格を創設し、人材育成と人材確保を図ることを目的とした改正です。国際的に理解を得られ、外国人材に日本を選んでもらえるよう、以下の3つに重点を置いて見直しが行われています。
| 見直しのポイント | 概要 |
|---|---|
| 外国人の人権保護 | 外国人の人権が保護され、労働者としての権利性を高めること |
| 外国人のキャリアアップ | 外国人がキャリアアップしつつ 活躍できる分かりやすい仕組みを作ること |
| 安全安心・共生社会 | 全ての人が安全安心に暮らすこと ができる外国人との共生社会の実現に資するものとすること |
上記の点を踏まえた上で、以下の4つの見直しが行われました。公布日である令和6年6月21日から起算して3年以内に施行される予定で、詳しい日程は未定です。
- 新たな在留資格の創設
- 特定技能の適正化
- 不法就労助長罪の厳罰化
- 永住許可制度の適正化
以降でそれぞれ詳しく紹介します。
新たな在留資格創設
「新たな在留資格の創設」は改正の大きな柱のひとつです。
「技能実習制度」は、外国人材を受け入れる制度のひとつですが、技能実習制度では転籍ができないことや監理団体による監理・支援が十分ではないことなどを原因とする、人権侵害や法違反が問題視されていました。
人材確保および人材育成を目的とする制度の在り方の見直しが行われ、現行の技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」の設立が決定しました。育成就労制度の詳細は後述しています。
特定技能の適正化
「特定技能の適正化」は、現行の特定技能制度より公平で透明性の高い仕組みとなるよう見直しが行われました。
特定技能所属機関(受け入れ機関)が1号特定技能外国人の支援を外部委託する場合、委託先は登録支援機関のみに限定されます。
登録支援機関は、職員配置等の登録要件が厳格化され、支援実績・委託費等の開示も義務付けられています。
不法就労助長罪の厳罰化
就労が認められていない在留資格で在留している外国人や、滞在期間を超えて滞在している外国人を雇うことはできません。
違反した場合、従来は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されていました(併科可)。改正後は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科可)に厳罰化されます。
永住許可制度の適正化
一般的な在留資格者は、活動や在留期間に制限があります。一方、永住者には制限がありません。外国人が永住許可を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
- その者の永住が日本国の利益に合すること
詳しい内容は「永住許可に関するガイドライン」にまとめられています。永住許可の取得後、故意に公租公課の支払いをしないなど、制度の趣旨に反する事例が発生していることを受け、改正が行われました。
改正後の入管法では、永住許可の要件を一層明確化し、基準を満たさなくなった場合等の取消事由が追加されています。
令和7年(2025年)入管法における方針案の内容
特定技能制度および育成就労制度の基本方針や分野別運用方針に関して、令和7年現在も有識者会議が開かれています。令和7年10月中旬時点では、計8回の有識者会議が開かれました。
たとえば、令和7年9月17日に行われた7回目の有識者会議では、特定技能制度・育成就労制度に対する「上乗せ基準等(案)」や「育成就労制度における本人意向による転籍の制限(案)」が提示されています。
外国人材の受け入れを検討している企業にとって関係の深い内容なので、理解しておきましょう。
特定技能制度・育成就労制度の「上乗せ基準等(案)」とは?
特定技能・育成就労制度では、制度の適正性を保つため、外国人材を受け入れる企業に対し、各分野共通で法令上の基準が定められています。
「上乗せ基準等(案)」とは、共通の基準に加えて、分野ごとの特性を鑑みた水準での待遇や体制整備を求める基準のことです。
以下の項目に分け、分野ごとに新たな基準が設けられる見込みです。
- 事業者の範囲の限定(許認可等)
- 受入事業実施法人への加入等
- 受け入れ人数の上限
- 労働条件
- 労働安全衛生法対策
- 人材育成等(研修、キャリアアップ、体制等)
- 通常より高い日本語能力水準
- 監理支援機関等の範囲
各項目が適用される予定の分野や、上乗せ基準等(案)の概要を以降で紹介します。
上乗せ基準等(案)の概要と適用分野
上乗せ基準等(案)の項目と概要、適用が予定されている分野を簡潔に紹介すると以下のとおりです。
| 項目 | 対象分野(※) | 概要 |
|---|---|---|
| 事業者の範囲の限定 | 介護(育)、ビルクリーニング、リネンサプライ、建設、自動車整備、航空(特)、宿泊、自動車運送業(特)、物流倉庫、農業、飲食料品製造業(育)、外食業、林業、資源循環 | 制度の適正な運用のため、通常許可が必要とされる範囲を超えて、受け入れ機関に業法上の許可等を求める |
| 受入事業実施法人への加入等 | 工業製品製造業、建設(特) | 分野別協議会の加入義務に代えて、所管大臣の登録を受けた法人への加入を求める |
| 受け入れ人数の上限 | 介護、建設、漁業、林業(育) | 受け入れ人数について、通常の基準よりも限定する |
| 労働条件 | 工業製品製造業、建設 | 分野の特性に応じた労働者保護のため、特定の労働条件を課す |
| 農業(育)、漁業(育) | 労働者の要保護性に鑑みて、労働基準法の適用除外となっているものについて準拠などを求める | |
| 労働安全衛生法対策 | 介護、工業製品製造業、自動車整備(育)、農業(育)、漁業(特)、林業、木材産業、資源循環 | 労働災害発生の防止のため、通常よりも高い基準を求める |
| 人材育成等 | 介護、工業製品製造業(育)、建設、造船・舶用工業(特)、自動車整備(育)、自動車運送業(特)、飲食料品製造業、外食業(特)、林業(育) | 通常求められる範囲を超えて、外国人に対し一定の講習等を受講させる |
| 通常より高い日本語能力水準 | 介護、自動車運送業(特)、鉄道(運輸係員) | 業務の特性から、通常より高い水準の日本語能力を求める |
| 監理支援機関等の範囲 | 介護(育)、自動車整備、漁業(育) | 分野の特性の事情に応じて、監理支援機関となることのできる基準を変更する |
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度及び育成就労制度の上乗せ基準等(案)について」
分野ごとの上乗せ基準の詳細は「出入国在留管理庁ホームページ」で確認できます。たとえば、建設分野では、以下の内容が新規に設けられる基準等に定められています。
| 項目(建設分野の場合) | 概要 |
|---|---|
| 事業者の範囲の限定 | 特定技能受入計画・育成就労計画の申請日前5年以内に建設業法に基づく監督処分を受けていないこと |
| 受け入れ人数の上限 |
【補足】
|
「育成就労制度における本人意向による転籍の制限(案)」とは?
育成就労制度では、原則同一企業で3年間就労することが望ましいとしています。しかし、暴行やハラスメント等の不正行為があった場合のほか、同じ実施者のもとで育成就労を開始してから一定期間経過後など、一定の要件を満たす際は本人の希望で転籍可能とする方針を示しています。
転籍制限期間を1年とすることを目指しつつ、分野ごとの特性を踏まえ、1〜2年の範囲で期間を設定する方針です。
1年を超える転籍制限期間を設けた場合、分野ごとに定める基準を満たす待遇の向上等を図らなければなりません。ただし、1年を超える転籍制限を定めた分野で、育成就労実施者が自主的に転籍制限期間を1年とした場合、この限りではありません。
なお、転籍する場合、分野ごとに一定レベルの日本語能力試験に合格していることが求められます。
分野ごとの暫定的な転籍制限期間をはじめとする詳細は、出入国在留管理庁の資料で確認できます。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度における本人意向による転籍の制限(案)について」
入管法・技能実習法の新たな改正案の柱「育成就労制度」とは
前述のとおり、「新たな在留資格創設」では、外国人が技能を習得するために日本で就労する「技能実習制度」を廃止し、新たに「育成就労制度」を新設する内容が盛り込まれています。
移行の背景のひとつに、技能実習生問題が挙げられます。本項では、労働力として外国人材を受け入れている企業にとって影響が大きい技能実習制度の現状や、新設される育成就労制度の詳細を解説します。
関連記事:技能実習生とは?制度の概要や問題点を解説!新設される「育成就労」の情報も紹介現行制度の「技能実習」
技能実習制度は、1960年代後半から行われてきた海外での研修制度を原型として、1993年に創設されました。発展途上地域に対して技術移転を図る国際貢献が目的の制度です。
技能実習制度を利用して日本で就労する外国人を、技能実習生といいます。技能実習生は、日本で働きながら専門的な知識や技能を習得し、自分の国に持ち帰って活用することが趣旨の制度となっています。
在留資格の技能実習1号が1年目、2号は2~3年目、3号は4~5年目に該当します。技能実習は帰国が前提の制度ですが、2号を良好に修了し諸条件を満たせば、在留資格「特定技能1号」へ移行して日本で働き続ける選択も可能です。
日本に在留する外国人のうち、技能実習生は永住者に次いで2番目に多い在留資格です。
出入国在留管理庁のデータによると、令和5年12月末時点で技能実習生は404,556人です。
入管法・技能実習法の改正の背景にある技能実習生問題
本来、技能実習は日本での就労を通じて外国人が技能を得るための制度です。技能実習生を受け入れる事業所は、外国人を実習のための就労に従事させなければなりません。
しかし、技能実習生を単なる人手不足解消のための人材とみなし、必要な実習を行わない、目的外の制度利用が問題視されています。
また、人権侵害の例も存在します。差別や偏見・ハラスメント、劣悪な労働環境、不当に低い賃金・賃金不払いなどの例です。
悪質な仲介業者の存在も是正すべき問題のひとつです。不当な手数料を徴収されるため、外国人が多額の借金を背負って来日するケースが確認されています。
現行の技能実習制度では、本人希望の転職は原則として規制されています。転職制限は外国人の立場が弱くなりやすく、技能実習生問題を深刻化させている要因として考えられます。
技能実習生の失踪が多く社会問題になっており、また転職制限等が国際的にも非難されているため、根本的な問題を解消する目的で技能実習制度の廃止と育成就労制度の新設が発表されました。
育成就労制度の概要
育成就労は技能実習に代わる制度として創設が発表されました。育成就労制度と技能実習制度は、目的が異なります。
技能実習制度は日本での就労を通じて人材を育成し、国際貢献を行うことを目的としていました。一方、育成就労制度は、人手不足分野の人材育成や人材確保が目的です。
そのほか、主に以下の点で異なります。
| 項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
|---|---|---|
| 受け入れ分野 | 91職種168作業と職種・作業が細分化されるため特定産業分野との不一致がある | 原則として特定産業分野(16分野)と一致させる見込み(国内での人材の育成になじまない分野は除く) |
| 転職条件 | やむを得ない事情がある場合のみ | 同一の業務区分内に限り、一定の要件で本人意向による転籍が認められる |
| 日本語能力 | なし(介護職を除く) | 日本語能力の要件あり |
しかし、円安が進み日本で働くメリットが小さくなりつつあるなか、我が国は今後も外国人労働者にとって魅力のある就労先としてあり続けなければなりません。
育成就労制度では「外国人の人権保護」「外国人のキャリアアップ」「安全安心・共生社会」の3つのビジョンを重視し、技能実習制度での問題を是正するための改正がなされました。改正法は、令和9年(2027年)までに施行されます。
予定されている主な改正内容は以下のとおりです。
- 人材確保と人材育成を目的とする
- 外国人の知識・技能を段階的に向上させ、特定技能への円滑な移行を図る
- 外国人の人権を保護するための仕組みづくり
詳しく見ていきましょう。
技能実習と育成就労の違い1・受け入れ分野
令和7年3月時点の技能実習生の受け入れが可能な分野は以下のとおりです。
- 農業関係(3職種7作業)
- 漁業関係(2職種10作業)
- 建設関係(22職種33作業)
- 食品製造関係(11職種19作業)
- 繊維・衣服関係(13職種22作業)
- 機械・金属関係(17職種34作業)
- その他(21職種39作業)
- 主務大臣が告示で定める職種及び作業(2職種4作業)
育成就労制度では、後述する在留資格「特定技能」の対象である以下の16分野のうち、国内の就労を通じた人材育成になじまない分野を除いた分野が対象となる予定です。
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空(育成就労の対象外となる見込み)
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 自動車運送(育成就労の対象外となる見込み)
- 鉄道
- 林業
- 木材産業
育成就労制度は、特定技能制度に接続する制度と位置づけられているため、従事できる業務の範囲も特定技能と同一になる見込みです。
技能や日本語能力に係る試験の合格や、一定期間の就労により、特定技能1号への移行が認められる方針とされています。
ただし、制度改正・新設に伴う雇用体制の整備が進まない場合、スムーズに移行できない可能性があるため、企業や関係団体は事前の準備が必要です。
技能実習と育成就労の違い2・転職の条件
育成就労制度では、以下の条件を満たす場合に、本人の意向による転職(転籍)が認められるようになります。
- 同一の受け入れ機関において就労した期間が一定の期間を超えている(分野ごとに1~2年で設定される予定)
- 技能検定試験基礎級等・一定水準以上の日本語能力に係る試験に合格
- 転籍先が、適切であると認められる一定の要件を満たす
本人意向の転籍は、同一の受け入れ機関での就労期間が1〜2年以下の範囲で、分野ごとに定められている期間を超えていなければなりません。詳しい期間は制度の施行後、省令等で示される見込みです。今後の動向に注目しましょう。
なお、3年間ひとつの受け入れ機関での就労が効果的であり望ましいとする方針は継続されます。
出典:出入国在留管理庁「特定技能制度及び育成就労制度について」
技能実習と育成就労の違い3・技能の水準
技能実習は、外国人が知識や技術を国に持ち帰って活用する、帰国が前提の制度です。
これに対し、育成就労では、制度全体の目的として人材確保の観点が追加されるため、就労を通じて、後述の在留資格「特定技能1号」水準の技能を習得させる育成が必要になります。背景にあるのは、特定技能に移行して長く日本で就労してもらう、人材定着の狙いです。
また、技能実習制度では介護分野を除き技能実習生になるための能力に関する基準はありませんが、育成就労制度では、開始前の要件に日本語能力の基準が新たに設定されます。日本語能力の検定で一定水準以上の成績を証明するか、所定の日本語講習の受講が必要です。
なお、事業所が日本語教育に積極的に取り組むための、インセンティブが設けられる予定です。
移行先の在留資格「特定技能」とは
特定技能は在留資格の一種で、人手不足が特に深刻化している特定産業分野での人材確保を国が支援する目的で創設された制度です。
受け入れができるのは16分野で、うち4分野は令和6年3月に追加が発表されました。受け入れ人数の拡大も発表されており、今後も特定技能外国人は増加する見込みです。
特定技能は1号と2号の分類があり、在留期間や技能の水準などが異なります。2号は1号より高い技能や実務経験がなければ取得できないため、1号と比較し全体的に在留条件の優遇措置が講じられています。
該当する技能実習制度がある分野では、技能実習2号を良好に修了して諸条件を満たせば技能・日本語能力に関する特定技能1号の在留資格の申請要件を満たすことができます。また、所定の検定に合格する方法でも可能です。
育成就労制度では、修了時の目安として「特定技能1号を取得できる程度」の技能水準が求められます。
特定技能の職種の分野や、特定技能と技能実習生の違いは以下の記事でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
関連記事:特定技能の受け入れ職種まとめ!16分野の一覧をわかりやすく解説関連記事:特定技能・技能実習生の違いは何?制度のメリットや注意点をわかりやすく解説
まとめ
入管法は出入国管理及び難民認定法の略称です。
令和5年には「送還忌避問題の解決」「収容を巡る諸問題の解決」「保護すべき者を確実に保護」の3点を軸にした改正が決まりました。
令和6年6月には「技能実習制度」の廃止と、新たな在留資格「育成就労」を柱とした改正法が成立しました。公布日である令和6年6月21日から起算して3年以内に施行される予定です。育成就労では、現行の技能実習制度で確認されている諸問題の是正が目指されています。
令和7年以降も制度の適正性を保つため、基本方針や分野別の運用方針を見直す案が有識者会議で提示されています。外国人労働者の受け入れを実施・検討している事業者は、動向をチェックしておきましょう。
Adeccoでは特定技能人材の紹介や受け入れ後のサポートを行っておりますので、ぜひご活用ください。
■監修者情報

弁護士
松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。
