Q48 事業所単位の抵触日の延長手続き
事業所単位の受け入れ期間を延長する際の意見聴取の手順を教えてください。
事業所単位の受け入れ期間制限を延長する手続きは以下の手順で行います。
- 意見を聴く相手を決める
- 書面による通知
- 意見聴取・延長に反対された場合の対応
- 結果の記録、保存、周知
- 派遣元への通知
- 意見を聴く相手を決める
派遣受け入れ期間の延長の際は、派遣先事業所に労働者の過半数を組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければなりません。過半数代表者は、36協定や就業規則改正の際と同様に管理監督者以外の者を民主的な手続きで選出します。36協定の過半数代表者と派遣受け入れ期間延長の過半数代表者が同一人物となることは差し支えありませんが、派遣受け入れ期間延長の意見聴取のためであることを明確にした上で選出してください。また、社長(事業主)と派遣社員しかいない派遣先においては意見を聴く労働者がいないので受け入れ期間を延長することができません。 - 書面による通知
過半数労働組合等意見聴取の相手に以下の2つを書面で通知します。- 労働者派遣の役務の提供を受けようとする事業所
- 延長しようとする期間(3年以内)
- 意見聴取・延長に反対された場合
過半数労働組合等の意見を聴取します。過半数労働組合等が書面で意見を通知するという定めがないので、意見聴取のための会議等の際に口頭で意見を述べることも可能です。延長に関して異議が述べられた場合は、抵触日の前日までに延長の期間と理由、派遣の常用代替に関する意見がある場合は、常用代替への対応方針を説明しなければなりません。 - 結果の記録、保存、周知
派遣先は、派遣可能期間を延長するに当たっては、意見聴取に関する以下の事項を書面に記載し、抵触日から3年間保存するとともに派遣先労働者に周知する必要があります。派遣先労働者への周知は、36協定、就業規則同様に事業所内の掲示、備え付けや書面を個別に配布する、電子データで保存して閲覧可能とすることなどにより行います。- 意見を聴取した過半数労働組合の名称又は過半数代表者の氏名
- 手順2の通知事項及び通知日
- 過半数労働組合等から意見を聴いた日、意見の内容
- 意見を聴いて派遣受け入れ期間を変更する場合は、変更した期間
- 手順3で異議に対して説明を行った場合は、説明した日、説明の内容
- 派遣元への通知
派遣受け入れ期間を延長した場合は、速やかに派遣元に事業所単位の抵触日の変更を通知してください。通知の方法は、派遣契約締結時の抵触日通知と同じです。
POINT意見聴取は必ず正しい手順で!
意見聴取は正しい手順で行われていないと、派遣受け入れ期間が延長されず期間制限違反となる恐れがあります。特に意見聴取のための過半数代表者の選出方法が不適切な場合、意見聴取を実施していないものとなり、期間制限違反を理由に労働契約申し込みみなし制度が適用されます。
Profile

答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)
立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。

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