人事トレンド

労働市場トレンド情報:2025年の振り返りとこれからの人事戦略

2025/12/19

2025年は女性初の総理大臣が誕生したことで、多様性や働き方改革への関心がさらに高まる一方、人手不足の深刻さは2024年から継続しています。そのなかで「年収の壁」の見直しなど、働く環境をめぐる制度改革が段階的に進められています。

このような状況下で、有効求人倍率や就業率といった主要指標はどのように推移しているのでしょうか。本記事では、最新の公的データをもとに、全国の労働市場トレンドを整理します。

※本記事で引用しているデータはすべて制作時点のものです。最新の公表値や制度改正の情報については、各省庁や関連機関の発表をご確認ください。

2025年労働市場の振り返り

2025年は、政治・社会・人口構造の変化が重なり、働く環境に大きな影響を与えた一年となりました。女性初の首相として就任した高市首相は、就任会見で「機会の平等」「全世代総力結集」といった考え方に触れ、具体的な政策は現時点で明確ではないものの、多様な働き方を支える姿勢を示しています。

また、2025年はいわゆる「2025年問題」が本格化する節目の年でした。団塊の世代がすべて75歳以上となり、日本社会はこれまでにない高齢化局面を迎えています。2025年5月1日現在の人口では、75歳以上が2,108万人(全人口の17.1%)を占め、当初想定よりは低い割合となったものの、労働力人口の減少が続く状況には変わりがありません。

年代別人口 2025年5月1日現在(確定値)

参考・出典:総務省統計局「人口推計(2025年(令和7年)5月確定値、2025年(令和7年)10月概算値)」

超高齢化の進行により、医療・介護体制の逼迫、経済活動の縮小、人手不足の深刻化など、幅広い領域で課題が顕在化しています。特に運送業では、高齢ドライバーの引退と、2024年4月に施行された時間外労働の上限規制の影響が重なり、物流確保と収益性の両立が一段と難しくなっています。建設業でも若手不足や技能継承の停滞が続き、事業の安定的な運営に向けたリスクが高まっています。

これらの問題が続くなか、生産性向上に向けたDX推進の必要性は増していますが、IT人材の不足も足かせとなっています。企業は様々な問題と向き合い、中長期的な人材確保と働きやすい環境づくりを両立することが求められます。

データから紐解く労働市場の現状

ここからは、有効求人倍率や雇用形態別の就業状況、産業別の需給動向、性別・年齢別の就業者数といった主要データをもとに、2025年の労働市場を具体的に整理します。数字の変化を踏まえながら、企業が向き合う環境と今後の人事戦略の方向性を考えるための基礎情報を確認しましょう。

有効求人倍率の推移

2025年9月(令和7年9月)の有効求人倍率(季節調整値)は1.20倍となり、依然として売り手市場が続いています。求職者1人に対して1件以上の求人が存在する状況は長期化しており、企業が優秀な人材を確保する難易度は引き続き高い状態です。

正社員に限定した正社員有効求人倍率(季節調整値)は1.00倍で、前月と同水準を維持しました。1倍台が継続していることから、正社員採用においても需給の逼迫感が続いているといえます。全体として、採用競争の厳しさは2025年に入っても大きく緩和していません。

求人、求職及び求人倍率の推移

参考・出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」

雇用形態別の就業状況

2025年9月の就業者数を雇用形態別にみると、正規の職員・従業員は3,760万人で、前年同月比68万人増と23ヵ月連続の増加となりました。企業が長期的な人材確保を重視し、正規雇用を強化する動きが続いています。

一方、非正規の職員・従業員は2,091万人と前年同月比で16万人減少し、2ヵ月連続の減少となりました。非正規雇用者数は2023年9月以降、増減を繰り返しつつも大きな構成比の変動はなく、一定の割合を保ちながら推移しています。

雇用形態別雇用者数 2025年9月

参考・出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)9月分」

採用難が続くなか、企業には正社員採用だけに依存しない柔軟な人材戦略が求められています。派遣社員やパート、専門スキルを持つ業務委託人材など、多様な雇用形態をどのように組み合わせるかが鍵となるでしょう。

産業別の需給状況

2025年9月の産業別求人動向(対前年同月比)をみると、全体で3.2%減と減少傾向がみられました。減少幅が大きい産業としては、卸売業・小売業(7.4%減)、情報通信業(6.8%減)が続きます。

また、月次の動きをみると増減が大きく、2025年8月には生活関連サービス業・娯楽業(16.1%減)、卸売業・小売業(12.7%減)、宿泊業・飲食サービス業(10.7%減)など、多くの業種で10%を超える減少が確認されています。観光需要の変動、業務効率化の進展、人材不足による採用抑制など、複数の要因が影響していると考えられます。

年単位でみると、産業別求人は全体として横ばいから微減の傾向が続いており、技能人材の不足や事業構造の転換が求人動向に影響を及ぼしている状況がうかがえます。

主要産業における対前年同月比の推移(新規学卒者を除く)

参考・出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年9月分)」

男女別・年齢別の就業状況

2025年9月の就業者数は6,863万人となり、前年同月比で49万人増と38ヵ月連続の増加となりました。男女別にみると、男性は3,710万人、女性は3,153万人で、女性の就業者数は1953年の統計開始以降で過去最多を更新しています。

男性の就業者数の伸びが鈍化する一方で、女性の増加が顕著となり、男女間の就業者数の差は徐々に縮まっています。特に、2025年9月の女性における正規職員・従業員の割合は49.1%となり、正規雇用者に占める女性比率が50%に迫る水準へと上昇しました。これは調査開始以来の最高値であり、女性の正規雇用も進んでいることを示しています。少子高齢化が進むなかで、女性の就業継続と活躍拡大は労働供給を維持するために不可欠な要素であり、企業にとっても採用戦略の重要な柱になります。

就業者数の推移(男女別)

参考・出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計)」主要項目(労働力人口、就業者、雇用者、完全失業者、非労働力人口、完全失業率)

深刻化する人材・人手不足への対応

深刻化する人手不足を背景に、企業には育児や介護との両立支援、外国人材やシニア人材の活用、多様な働き方の整備、派遣・外部リソースの活用、そしてDXの推進など、多角的な対策が求められています。ここでは、主要テーマごとに最新の動向を整理します。

育児・介護との両立支援

女性の就業率は、かつては出産・育児期に大きく低下するいわゆるM字カーブが典型とされていました。しかし近年では、グラフは台形に近づきつつあり、30代の育児期でも就労を継続する女性が増加したことを示しています。また、M字の底となる年齢も、かつての30代前半から、やや高年齢層(30代後半〜40代前半)へと右に移動する傾向が見られます。

一方で、新たな課題としてL字カーブが注目されています。これは女性の正規雇用比率の推移をまとめたもので、20代後半をピークに正社員比率が急速に低下した後、その状態が続く姿を指します。M字カーブは、全体の「就業率」で見ると改善していますが、正規雇用だけに絞って見ると、出産・育児期を経て依然として非正規で働く選択をする女性が多い現状を反映しています。

女性の年齢階級別正規雇用比率(L字カーブ)

参考・出典:内閣府男女共同参画局「女性活躍に関する基礎データ」

育児・介護休業法は2025年4月と10月に改正され、企業には両立支援の強化が義務付けられました。育児・介護に関わる従業員への情報提供と意向を把握する仕組みや、育児期の柔軟な働き方を実現する制度の導入などが求められています。女性の継続就業を支えるためには、男性の育児参加が不可欠であることから、企業文化として両立支援を進める取り組みがより重要になります。

外国人材の活用

厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)によると外国人労働者数は約230万人となり、前年から約25万人増え、届出が義務化された平成19年以降で過去最多を更新しました。また、外国人を雇用する事業所数も約34万所で届出義務化以降過去最多を更新しました。労働力人口の減少が続くなか、外国人材は国内の労働供給を支える重要な存在となりつつあります。

在留資格別外国人労働者数の推移

参考・出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)

政府は外国人材の受け入れを拡大しており、専門技能を持つ人材を対象とした新たな制度である育成就労制度の整備が進められています。働き手の不足に対応するため、外国人材の活用は今後も広がることが予想されます。

企業に求められるのは、在留資格手続きなどの適切な雇用管理体制の整備はもちろん、多文化共生に配慮した職場づくりや日本語学習などの言語支援、生活面のケアを含めた定着支援です。制度整備が進む一方で、外国人材の長期的な活躍につながる受け入れ体制の強化が課題となります。

シニア人材の雇用促進

2025年9月15日現在の人口推計では、65歳以上の高齢者は過去最高の3,619万人となり、総人口の約29.4%を占め、主要38か国の中でも最も高い割合です。シニアの就業者数も21年連続で増加し、930万人と過去最多を更新しています。

65歳以上の就業者数の推移

参考・出典:総務省「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」

高年齢者雇用安定法では、企業に65歳までの雇用確保措置が義務付けられています。2025年4月1日からは、65歳までの継続雇用制度を導入している企業において、それまで猶予措置として認められていた対象者の限定が完全に廃止され、希望者全員を65歳まで雇用することが完全に義務付けられました。また、70歳までの就業機会の確保についても、企業の努力義務となっています。

シニア人材の活躍に向けて、健康管理を含む職場環境づくり、業務負担の調整、安全対策などが求められます。労働力不足を補うためにも、シニア人材の経験や技能を最大限に生かす取り組みが重要です。

多様な働き方の推進

政府は働き方の柔軟性向上を政策として掲げ、短時間正社員制度の拡充、勤務間インターバル制度の推進などを進めています。テレワーク、週休3日制、フレックスタイム制度など、多様な働き方が浸透することで、生産性向上や従業員満足度の向上が期待されています。

一方で、現状の普及率をみると、フレックスタイム制の導入率は7.2%、勤務間インターバル制度の導入は5.7%にとどまっています。週休3日制は法的義務のある制度ではなく、企業判断で導入が進められている段階です。育児や介護、治療と仕事の両立、学び直し、余暇の充実などのニーズに応えるには、さらなる推進が必要でしょう。

派遣・アウトソーシングの活用

専門人材の不足に対応するため、派遣・アウトソーシングの活用は拡大しています。業務効率化や専門性向上を目的に、特定スキルを持つ派遣社員への需要が高まっています。また、アウトソーシングではIT業務や人事・総務をはじめ、幅広い領域で業務の外部委託(BPO)が増加しています。

同一労働同一賃金の導入により、派遣先の従業員と派遣労働者の不合理な待遇差の解消が求められるようになりましたが、すべての課題が解消されたわけではありません。待遇改善、キャリア形成支援、スキル向上支援は引き続き重要であり、派遣労働の質を高める取り組みも求められています。

コスト管理や業務分担の最適化は企業の大きな課題であり、外部リソースの柔軟な導入が持続可能な人事戦略の鍵になるといえます。

DXの推進

人手不足に対応するため、業務プロセスのデジタル化や自動化を進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)は欠かせない要素となっています。AIやロボット、RPAなどの業務自動化ツールが導入されることで、生産性向上が期待されるだけでなく、従業員がより付加価値の高い業務に専念できる環境を整えることができます。

IPAのDX動向2025では、日本企業のDX取り組み率は77.8%と報告され、2022年の69.3%から着実に増加しています。従業員規模が大きい企業ほどDXが進みやすく、米国と同程度の浸透度かつドイツより高い水準となりました。

一方で、課題は取り組みの成果にあります。国別に比較すると、米国やドイツでは8割以上が「DXの成果あり」と回答しているのに対し、日本は6割弱にとどまっています。成果を測定しておらず、自社のDXの進捗を把握できていない企業も多い傾向です。成果創出が伸び悩む現状を踏まえ、取り組みの質を高めることが今後の重要な論点といえるでしょう。

まとめ

2025年の労働市場は、人手不足の深刻化や人口構造の変化を背景に、多様な働き方や人材活用の取り組みが一層進んだ一年となりました。今後の人材戦略や組織課題の検討にあたっては、必要に応じて最新データの確認や追加の情報収集をご活用ください。

ご検討中の人材活用や働き方に関するご相談は、営業担当またはお問い合わせフォームまでお気軽にお寄せください。

【監修者】
内山 美央 うちやま社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士
https://uchiyama-sr.net/
人材派遣

全国対応はもちろん、期間制限がない無期雇用派遣、テレワーク派遣など、さまざまなニーズにお応えします。さらに、独自のビジョンマッチングとキャリアコンサルティングで、人材のパフォーマンスを最大化します。

詳細はこちら
アウトソーシングサービス

アウトソーシングで業務を最適化。人材不足を解消し、生産性を向上。製造・BtoC分野のBPOならこちら。

詳細はこちら
この度、外国人材の採用・就業に関するお役立ち情報をお届けする総合メディア「特定技能インフォ」を新設いたしました。外国人材の積極的な採用・就業をめざす企業経営者や人事担当者が知っておきたい制度や、課題を解消する糸口となる情報、各種お役立ち情報を幅広く配信してまいります。
セミナー情報
企業の人事・労務・派遣管理のご担当者の方を対象としたセミナーを随時開催しています。ぜひご参加ください。
お役立ち情報
人事のご担当者の皆さまに役立つコラムや資料を随時お届けしています。
メールマガジンに登録
人事ノウハウや労働法制などの最新お役立ち情報を配信しております。