【2026年版】人事・労務関連の法改正まとめ~企業が今から準備すべき対応とは~
2026/01/08

2026年は、人事・労務分野において多岐にわたる法改正が予定されています。少子高齢化の進行や働き方の多様化を背景に、年金制度の見直しや女性活躍推進法・子ども子育て支援法の改正、さらには障害者雇用促進法など、企業が注視すべき改正が続きます。
本記事では、2026年に施行・検討が進む主要な人事労務分野の法改正のポイントを整理し、企業が押さえておくべき対応の方向性を解説します。2026年の人事戦略や労務管理の計画にお役立てください。
| 施行日 | 法令名など | 内容 |
|---|---|---|
| 2026年4月 | 年金制度改正法 |
|
| 女性活躍推進法 | 情報公表義務の対象拡大(101人以上の企業) | |
| 子ども・子育て支援法 | 健康保険料に上乗せして「子ども・子育て支援金」が徴収 | |
| 労働安全衛生法 |
|
|
| 2026年7月 | 障害者雇用促進法 |
|
| 2028年予定 | 労働安全衛生法 | ストレスチェックの義務化対象範囲の拡大 |
年金制度改正法
社会経済の変化を踏まえ、年金制度の機能強化を図る観点から、被用者保険の適用範囲拡大、在職老齢年金制度の見直し、遺族年金の支給要件の見直し、標準報酬月額の上限の段階的な引き上げ、さらに個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢の引き上げなどの措置が講じられます。
被用者保険の適用拡大(パート・短時間労働者)【2026年10月~】
2026年10月から、パート・短時間労働者を対象とする被用者保険(厚生年金・健康保険)の適用範囲がさらに拡大されます。現行制度では社会保険の加入対象者は「従業員51人以上の企業等」に勤務し、「週の所定労働時間が20時間以上」「月額賃金が8.8万円以上」「雇用期間が2か月を超える」「学生でない」ことが条件となっています。
今回の改正により、賃金要件(月8.8万円以上)が撤廃される予定です。法律の公布日(2025年6月20日)から起算して3年以内に実施されることとなっており、早ければ2026年10月からの適用が見込まれます。
企業規模要件についても、2027年から2035年にかけて段階的に縮小・撤廃され、中小企業における社会保険加入対象者が順次拡大していく見通しです。また、2029年10月からは、個人事業所の取扱いも見直され、常時5人以上を使用する事業所であれば、「法定17業種の事業以外の業種」にも適用範囲が広がる予定です。
背景・目的
被用者保険の適用範囲拡大は、少子高齢化による社会保障の支え手不足を補う観点から、短時間労働者を含む多様な働き手が厚生年金や健康保険の被用者保険に加入しやすくなることを目的としています。これにより、パート労働者等の年金額増加や保障強化といったメリットが広がるとともに、加入条件の複雑化を解消し、制度運用の簡素化を図る狙いがあります。
企業で必要となる対応
本法改正に備えて、以下の対応が求められます。
- 短時間労働者・パートの勤務実態を再確認
- 社会保険加入対象範囲の拡大に伴い、加入手続き・保険料負担増の影響をシミュレーション
- 従業員(特にパート・短時間労働者)への説明の準備 など
在職老齢年金の支給停止基準の緩和【2026年4月】
従来、在職老齢年金は「賃金と年金の合計額が月50万円を超える場合」に年金の一部または全部が支給停止される仕組みでした。2026年4月からは、この支給停止の基準額が月62万円(2026年度[令和8年度]価格)へ引き上げられる予定です。基準の緩和により、働き続ける高齢者がより多くの年金を受け取りやすくなることが期待されます。
背景・目的
在職老齢年金の支給停止基準を緩和する目的は、労働人口の減少が進む中で、高齢者が就労を継続しやすい環境を整備することにあります。高齢者が働きながらも年金を受給しやすい仕組みとすることで、意欲のあるシニア人材の働き控えを解消し、活躍促進・社会全体の労働力確保につなげる狙いがあります。
企業で必要となる対応
本法改正に備えて、以下の対応が求められます。
- 65歳以上の再雇用者・嘱託社員など老齢厚生年金を受給しつつ就労している従業員を把握する
- 問い合わせや相談への対応体制を整える など
女性活躍推進法
女性活躍推進法とは、職業生活における女性の活躍を促進し、企業における女性の登用や働きやすい環境づくりを支援することを目的とした法律です。本法律は2026年3月31日までの時限立法でしたが、2036年3月31日まで延長されました。
情報公表義務の対象拡大【2026年4月1日】
2026年4月1日から、「男女間賃金差異」の公表義務の対象となる企業規模が拡大されます。これまでは従業員数301人以上の企業のみが対象でしたが、今後は101人以上の企業にも同様の公表が義務付けられます。さらに、新たに「女性管理職比率」の公表が101人以上の企業に義務化されます。
また、指定された選択項目のうち、従業員数301人以上の企業は2項目以上、101人以上の企業は1項目以上を公表するという点は従来と変わりません(例:男女別の採用倍率、男女別平均勤続年数、育児休業取得率など)。一方、従業員数100人以下の企業は努力義務の対象となります。
背景・目的
女性活躍推進法の改正は、管理職に占める女性の割合が依然として低く、男女間の賃金格差も縮小していないという日本の現状を踏まえたものです。女性の活躍状況に関する情報公表の義務対象を拡大することで、より多くの企業に自社の実態を「見える化」してもらい、女性活躍に関する取り組みを促進することを目的としています。
企業で必要となる対応
本法改正に備えて、以下の対応が求められます。
- 男女別賃金データ・女性管理職の人数・割合など自社内の女性活躍の現状に関するデータを整理・数値化
- 情報公表の準備 など
子ども・子育て支援法
子ども・子育て支援法は、少子化の進行や家庭環境の多様化といった社会的課題を踏まえ、子どもと子育て家庭を社会全体で支える仕組みを整えることを目的とした法律です。保育や教育、地域の子育て支援を総合的に推進し、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを目指しています。
子ども・子育て支援金制度【2026年4月1日】
2026年4月1日から、全世代・全経済主体を対象に子育て支援の財源を確保する「子ども・子育て支援金制度」の運用が始まります。この制度により、すべての世代が加入する健康保険料に一定額を上乗せして拠出する仕組みが導入されます。
これまで、事業主負担による「子ども・子育て拠出金」は存在していましたが、医療保険加入者個人からの拠出制度はありませんでした。今回新たに健康保険料に上乗せする形で支援金を徴収する方式が採用され、2026年度の一人当たりの拠出額は、月額250円程度と見込まれています。
さらに、拠出額は段階的に引き上げられる予定で、2027年度には350円、2028年度には450円程度となる見込みです。
背景・目的
子ども・子育て支援金制度は、深刻化する少子化に対応し、次世代の育成を社会全体で支えることを目的として創設される仕組みです。安定的な財源を確保することで、児童手当の拡充や妊婦・子育て世帯への支援給付、出生後の休業支援給付など、子育て関連施策の充実に充てられる見込みです。これにより、すべての世代が負担を分かち合いながら、安心して子どもを産み育てられる社会の実現を目指します。
企業で必要となる対応
本法改正に備えて、以下の対応が求められます。
- 給与計算システムの改修・設定変更確認
- 健康保険料とあわせて支援金を徴収する仕組みづくり
- 給与明細等での周知(努力義務) など
障害者雇用促進法
障害者雇用促進法とは、障害のある人がその能力を発揮し、安定した職業生活を送ることができるよう支援することを目的とした法律です。障害を理由とする差別の禁止や、合理的配慮の提供を企業に求めるとともに、雇用の機会拡大や職場定着支援などを通じて、誰もがともに働ける環境づくりを推進しています。
法定雇用率の引き上げ【2026年7月1日】
公的機関や民間企業には、事業区分に応じて法定雇用率以上の障害者を雇用する義務が課されています。この法定雇用率は段階的に引き上げが進められており、2024年4月に2.5%へ引き上げられた後、2026年7月には2.7%となる予定です。
法定雇用率の引き上げにより、雇用義務の対象となる企業の範囲も拡大します。これまで対象外だった小規模事業者も新たに義務を負うことになり、常用労働者が37.5人以上(概ね従業員38人規模)の企業が新たに対象となります。
背景・目的
障害者雇用促進法は、障害の有無にかかわらず、すべての人が希望や能力に応じて職業を通じて社会参加できる「共生社会」の実現を目指す法律です。近年、障害者の就労意欲や定着率が高まる一方で、企業間での雇用状況は依然として差が見られることから、より多くの企業に障害者雇用への取り組みを広げることが課題となっています。こうした背景を踏まえ、法定雇用率の引き上げを通じて、社会全体で障害者の就業機会を拡大し、共生社会の実現をさらに推進することが目的とされています。
企業で必要となる対応
本法改正に備えて、以下の対応が求められます。
- 自社の常時雇用者数を確認し、法定雇用率引き上げ後に何人の障害者を雇用すべきかを試算する
- 障害者を受け入れ可能な業務・ポジションを検討する
- 障害者の採用計画や職場環境、受け入れ部署の研修などを整備する など
労働安全衛生法の改正
労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を図ることを目的として制定された法律です。
ストレスチェックが全事業場に義務化【2028年頃】
現在、ストレスチェック制度は「常時50人以上の労働者を雇用する事業場」にのみ義務付けられていますが、2028年頃(法改正公布後3年以内を目途に法令で定める)の施行を目指し、全事業場への義務化が進められています。これにより、これまで努力義務とされていた従業員数50人未満の事業場でも、ストレスチェックの実施が必須となります。
背景・目的
本法改正の背景には、労働者のメンタルヘルス不調の深刻化があります。精神障害を原因とする労災請求・支給決定件数が年々増加傾向にあるなか、特に従業員50人未満の小規模事業場では、専門的な対策が十分に講じられていない実態が指摘されています。
こうした課題に対応するため、事業場の規模を問わず、全ての職場でストレスチェックの実施を義務化し、早期発見・予防体制を構築することが急務になっています。これにより、働くすべての人の心身の健康を守り、安心して業務に専念できる環境整備を目指します。
企業で必要となる対応
本法改正に備えて、以下の対応が求められます。
- ストレスチェックの実施体制の整備
- 高ストレス者への面接指導および職場環境改善の体制づくり
- ストレスチェック結果の保存・管理体制の整備
- ストレスチェックツールの導入または外部委託を検討し予算を確保 など
まとめ
少子高齢化の進行や働き方の多様化を背景に、2026年は人事労務分野で多岐にわたる法改正が予定・検討されています。
これらの改正は、企業の人事制度設計や労務管理に直接影響を及ぼす可能性が高いため、人事担当者は施行時期を注視しつつ、早めに対応を進めることが求められます。法改正の動向を的確に把握し、自社の制度整備を進めていきましょう。
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