派遣会社のマージン率とは?内訳や平均、計算方法を解説
2026/01/30

人材派遣を利用する際に発生する費用には、派遣社員の人件費以外にマージンと呼ばれる派遣会社に支払う費用が発生します。派遣会社に支払うマージンは、契約に対する総費用に一定の料率を掛けて算定しますが、その際に用いる料率を「マージン率」といいます。
派遣先企業のコスト管理の観点からも、派遣社員を受け入れる場合は、マージン率の理解が必要です。そこで本記事では、人材派遣契約に関するマージン率の概要や平均のほか、派遣会社の選び方について詳しく見ていきましょう。
目次
人材派遣のマージン率とは?
人材派遣を利用する際に、派遣先企業から派遣元である派遣会社に対して支払われる費用には、マージンが含まれています。
マージンは、派遣会社の利益や派遣社員の管理費用などの原資として支払われる費用で、人材派遣費用全体の中で、マージンが占める割合がマージン率です。なお、このマージン率は、労働者派遣法により公開が義務付けられています。
マージン率の計算方法
マージン率は、派遣料金から派遣社員の賃金を除いた金額の割合を示したもので、以下の計算式で算出されます。
マージンに含まれる費用の内訳
派遣会社へのマージンとして支払われる費用には、社会保険料のほか、教育訓練費用、有給休暇費用などが該当します。主な内訳の詳細は下記のとおりです。
<派遣会社のマージンに含まれる主な内訳>
- 社会保険料
- 教育訓練費用
- 有給休暇費用
- その他諸経費
- 営業利益
■派遣料金の内訳
| 割合 | 70.0% | 10.9% | 4.2% | 13.7% | 1.2% |
|---|
参考:一般社団法人 日本人材派遣協会「データ」
派遣会社や職種によって多少の違いはありますが、派遣料金の内訳は、概ね上記グラフの構成です。 派遣料金の大半を占めるのは、派遣社員の賃金で全体の約70%を占めます。
加えて、派遣会社が派遣社員の雇用主として負担する各種の社会保険料が10.9%です。派遣社員には有給休暇が発生しますが、取得の際には派遣会社が賃金を支払います。そのための費用が4.2%となっており、派遣社員に関連する費用は85%を占めています。
その他、派遣社員の教育研修費用、相談センター等の運営費や派遣社員をサポートする派遣会社の営業担当者やコーディネーターなどの人件費、オフィス・登録センター賃借料、募集費用等をはじめとする諸経費が13.7%。これらすべてを差し引いた残り1.2%程度が派遣会社の営業利益となります。
派遣会社の利益率
前述のデータからもわかるように、派遣会社の営業利益率は1.2%程度となります。派遣会社は、約30%のマージンの中から派遣社員に関する各種負担金を支払い、実際に営業利益として残る分はわずか、1%程度となるのです。
マージンが下がると、派遣社員の教育や福利厚生に関わる費用が少なくなり、派遣社員の質の低下や健全な就労環境を脅かすリスクがあるため、適切なマージン率の設定が必要になります。
マージン率だけで派遣会社を判断できない理由
派遣先企業にとって派遣会社を選ぶ際に、マージン率が低いということは派遣料金の平均額が低いということを意味する可能性もありますが、一概にマージン率が低いほうが良いとは言えません。
マージン率が極端に低い場合、派遣会社による派遣社員への充分なサポート体制が期待できず、トラブルの早期発見や円滑な関係維持が難しくなることも考えられます。
派遣社員にパフォーマンスを発揮してもらうには、派遣会社の担当者が、勤務状況や職場環境を定期的に確認し、問題がないかを把握すると同時に、派遣先企業とコミュニケーションを密にとることが欠かせません。
派遣会社を選ぶ際のポイント
人材派遣の活用を検討する際には、どのようなポイントを押さえて派遣会社を選ぶべきなのでしょうか。派遣会社を選ぶ際の主なポイントを紹介します。
<派遣会社を選ぶ際の主なポイント>
- 実績と信頼性
- 派遣人材の在籍数
- 派遣会社の専門分野
- 福利厚生や教育研修の充実度
実績と信頼性
派遣会社を選ぶ際に、参考となる客観的データとして、過去の実績があります。派遣会社のWebサイトでは、事業内容や専門領域、今までの実績などを公表しているはずです。
実績は、企業の信頼性につながる重要なデータであるため、確認することをおすすめします。
アデコの人材派遣の実績や事例、強みについて詳しくはこちら
派遣人材の在籍数
派遣会社を客観的に判断する基準のひとつが、在籍社員数です。派遣会社の中には、在籍する派遣可能人材の人数を公表している企業も存在します。在籍する人材数が多いほど人材の幅が広く、多様な課題解決が可能です。
また、在籍する人材が多いとノウハウの蓄積も多くなり、より質の高いサービスの提供も期待できます。
派遣会社の専門分野
派遣会社によって、得意とする業界や職種などに違いがあります。そのため、自社が抱える経営課題や人材面での問題点を整理し、自社の課題解決に貢献できそうな派遣会社を選ぶことが重要です。
人材派遣を利用する際の流れ
人材派遣を利用する際にはどのような流れとなるのか、気になっている方もいるのではないでしょうか。ステップごとにすべきことなどについて、詳しくご紹介します。
<人材派遣を利用する際の一般的な流れ>
- 現状を分析し、課題を整理する
- 派遣会社を選定する
- 課題解決策の提案と、費用を見積もりする
- 人材派遣の利用を開始し、定期的に進捗確認を行う
1. 現状を分析し、課題を整理する
人材派遣を利用する前に、自社の現状を分析し、課題や問題点の整理をしましょう。現状分析の結果で明確となった自社の課題を解決するために、どういった人材戦略が必要かを判断し、人材派遣を利用する目的のほか、採用する職種を決定します。
なお、派遣会社の中には、現状分析や課題整理に関するコンサルティングサービスを提供している会社もあります。企業経営上の課題抽出は、自社内での主観的な分析だけでなく、外部企業からの客観的な分析を加えると、より本質的な課題の明確化が可能です。
2. 人材派遣会社を選定する
現状分析を基に、自社の課題や問題点に対する最適な派遣会社を選びます。過去の実績や提供しているサービス内容などを判断基準にして、自社の課題や問題点の解決に適した派遣会社をいくつか探してください。在籍社員数やサービス提供エリアなども判断材料に加えて検討しましょう。
3. 課題解決策の提案と、費用を見積もりする
派遣会社の選定が完了し、候補企業を絞った段階で、各社から具体的な人材の提案を受けます。提案を受ける中で、候補企業の自社課題に対する理解度や解決の可能性などを同時並行で検討していくとスムーズです。
提案までのやりとりで、担当者との相性やレスポンスの早さなど、人材派遣サービスの利用開始後にも関係する、企業間のコミュニケーションに問題がないかも判断してください。
具体的な提案と併せて費用見積書を確認し、予算との比較も行います。複数の企業から提案と見積書を取り、比較・検討するといいでしょう。
なお、人材派遣の活用をご検討されている企業担当者様向けに、アデコでは下記のサイトにて人材派遣の検討から導入までの流れを包括的に紹介しております。
採用を目指すべきターゲット人材を明確にするための「29のチェックリスト」など、人材派遣を初めて導入される場合に必要な基本情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
4. 人材派遣の利用を開始し、定期的に進捗確認を行う
自社の課題解決に最適で、予算とも合致する企業を選定し、人材派遣の利用を開始します。
人材派遣の利用開始後は、事前に設定した課題解決の進捗をチェックし、業務改善に関するフレームワークであるPDCAを意識しましょう。定期的な進捗確認と進捗の中で発見される、新たな課題に対する解決案の策定と実行を繰り返します。
また、進捗に問題がある場合には解決策を再策定し、状況次第では派遣人材の見直しを検討してください。
人材派遣のマージン率を理解し、最適な派遣会社選びを
人材派遣を利用する際に発生する費用にはマージンが含まれており、派遣会社の利益や派遣社員の管理費用などの原資になっています。マージン率は、人材派遣費用全体の中でマージンが占める割合のことで、派遣会社にはマージン率の公表が法的に義務付けられています。
マージンの中には、派遣会社の利益以外に派遣社員の社会保険料や教育費用なども含まれており、マージン率が低いということは、派遣会社が派遣社員に対して行う教育・フォロー体制が維持できない可能性があるため、必ずしも良いこととは限りません。
派遣会社を選ぶポイントとしては、マージン率のほか、実績や規模などから自社の課題解決に最適な企業を選定することが重要です。
アデコでは、「キャリアシード」や「ハケン2.5」など、優秀な人材を長期間活用できる無期雇用派遣の人材派遣サービスが充実しています。企業の課題や人事戦略に対応した人材派遣の活用を検討されている企業担当者の方は、アデコが提供する人材派遣サービスをご確認ください。
監修:渋田貴正(しぶた たかまさ)
税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士の4つの資格を保有。上級相続診断士®。富山県生まれ。東京大学経済学部卒。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。2012年に独立し、司法書士事務所開設。税理士登録後、税理士法人V-Spiritsグループの創設メンバーとして参画。著書に『はじめてでもわかる 簿記と経理の仕事 ’24~’25年版』(成美堂出版)などがある。


