能力開発基本調査から読み解く「育成の壁」と人事の次の一手 〜障壁・支援・処遇の実態から探る解決策〜
2026/09/25
目次
はじめに
近年、人的資本経営の浸透により、人材を企業価値の源泉と捉える考え方が広がっています。社員の能力を高める人材育成・能力開発は、従来のようなコストではなく、企業の持続的な成長に向けた投資として位置付けられるようになりました。一方で、経営戦略と連動した育成方針の策定や、社員一人ひとりの能力を伸ばす仕組みづくりなど、実践面にはなお課題が残されています。
本記事では、厚生労働省の令和7年度「能力開発基本調査」の結果をもとに、企業人事が直面する育成の実態を読み解きます。企業が社員に求める能力や教育訓練の実施状況、育成を阻む障壁、能力開発への支援と処遇との関係など、客観的なデータから課題の所在を整理し、人事担当者が次に取り組むべき施策を提示します。
能力開発基本調査とは
能力開発基本調査は、厚生労働省が平成13年度から毎年実施している調査です。企業、事業所、労働者それぞれの能力開発の実態を明らかにし、今後の人材育成施策の基礎資料とすることを目的としています。
この調査の特徴は、企業調査・事業所調査・個人調査の3つの視点を持つことにあります。企業調査では教育訓練への費用支出や育成計画の策定状況を、事業所調査ではOFF-JTや計画的なOJTの実施状況を、個人調査では労働者本人の受講経験や自己啓発の取り組みなどを尋ねています。能力開発という共通のテーマを、会社側と働く側の双方から捉えられる点が本調査の強みです。
令和7年度「能力開発基本調査」は、令和7年10月1日時点の状況を把握するために実施され、令和8年7月31日に結果が公表されました。
令和7年度「能力開発基本調査」結果の主なポイント
はじめに、本調査で用いられる3つの用語を確認します。
OFF-JTは「通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練」、OJTは「日常業務の中で行う教育訓練」を指します。また、自己啓発は「社員が職業能力を自発的に開発・向上させる活動」です。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図2をもとにアデコ株式会社にて作成
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図3をもとにアデコ株式会社にて作成
企業調査では、OFF-JTに費用を支出した企業は50.1%で、前回(49.4%)から0.7ポイント上昇しました。自己啓発支援への支出は25.9%で前回(27.2%)を下回ったものの、いずれも3年移動平均で見ると近年は上昇傾向にあります。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図6をもとにアデコ株式会社にて作成
過去3年間で正社員へのOFF-JT費用が「増加した」企業は24.6%であるのに対し、「減少した」企業は6.9%でした。今後3年間については「増加させる予定」が34.3%、「減少させる予定」が1.7%となっています。また自己啓発支援についても、過去3年間で「増加した」企業が12.1%に対し、「減少した」企業が3.9%、今後3年間は「増加させる予定」が28.0%であるのに対し「減少させる予定」は0.5%にとどまりました。
いずれも増加が減少を上回っており、企業の人材育成に対する支出は今後も増加が見込まれます。
なぜ今、企業に能力開発が求められるのか
能力開発は、人事施策の枠を超え、重要な経営課題に位置付けられています。背景には、労働人口の減少、DXの進展、ビジネスモデルの転換という3つの変化があります。
採用市場では売り手優位が続き、必要な人材を外部から確保する難易度が高まっている状況です。また、DXの進展によって、これまでの経験だけでは対応が難しい業務が増加しています。既存事業の延長だけでは成長を描きにくくなり、新たな領域へ人材を配置する必要性も高まりました。
こうした課題は、採用だけでは解決できません。今いる社員の能力を高め、生産性を引き上げることが不可欠です。能力開発は、人材確保と事業成長を両立するための経営施策として、重要性を増しています。
企業が社員に求める能力とは
企業が社員に求める能力と、社員自身が伸ばしたい能力の間には大きな差があります。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図10と図68をもとにアデコ株式会社にて作成
企業調査では、自社の発展に最も重要な能力として「チームワーク、協調性・周囲との協働力」が54.3%で1位でした(正社員(管理職を除く)50歳未満)。これは2位の「マネジメント能力・リーダーシップ」(34.9%)を20ポイント近く上回っています。
一方、正社員が「向上させたい」と答えた能力では「チームワーク、協調性・周囲との協働力」は13.5%で13項目中9位でした。上位を占めたのは「マネジメント能力・リーダーシップ」(40.2%)、「課題解決スキル(分析・思考・創造力等)」(33.5%)、「専門的なITの知識・能力」(27.2%)、「語学(外国語)力」(23.1%)です。特に後者2つは、企業側が重要視する割合がそれぞれ8.9%、2.7%と低く、求める能力に違いが表れています。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図66をもとにアデコ株式会社にて作成
ただし、社員が協調性を軽視しているわけではありません。「自信のある能力・スキル」の項目では、「チームワーク、協調性・周囲との協働力」が52.6%で1位でした。「すでに身についている」という認識が、伸ばしたい能力として挙がりにくい背景にあると考えられます。
加えて、協調性のような対人能力は、ITスキルや語学などと異なり「どう伸ばせばよいかわかりにくい」ため、向上させるべきテーマとして意識されにくい面もあります。
したがって、人事担当者が向き合うべきは、協調性への無関心ではなく「すでに十分である」という社員との認識の乖離と、「伸ばし方がわからない」という課題です。会社が求める水準を具体的に示しつつ、日常的な他者からのフィードバックや360度評価などを活用し、「どのように能力を伸ばしていくか」を提示することが、対人能力育成の有効な処方箋となるでしょう。
OJT・OFF-JTの実態と今後の優先課題
企業と社員の認識の乖離を踏まえ、実際の教育訓練がどのように行われているかを見ていきましょう。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図73をもとにアデコ株式会社にて作成
まず、OFF-JTの状況を確認します。個人調査において、受講したOFF-JTが「役に立った」と答えた労働者は96.0%に上りました。正社員で96.0%、正社員以外で96.1%と、雇用形態を問わず受講者の多くが効果を認めています。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図69をもとにアデコ株式会社にて作成
ただし、OFF-JTを受講した労働者は全体の37.3%にとどまります。雇用形態別では正社員が44.5%、正社員以外が19.4%です。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図30をもとにアデコ株式会社にて作成
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図31をもとにアデコ株式会社にて作成
計画的なOJTについても同様の傾向が見られます。実施した事業所は64.1%に上りますが、職層別に見ると、対象は入社直後などの初期段階に偏っています。新入社員が52.3%であるのに対し、中堅社員は38.7%、管理職層は24.9%、正社員以外は25.1%となっています。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図32をもとにアデコ株式会社にて作成
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図33をもとにアデコ株式会社にて作成
実施率の推移を見ると、正社員に対する実施率は60.6%で前回(61.1%)から0.5ポイント低下し、正社員以外は25.1%で前回(27.1%)から2.0ポイント低下しています。教育訓練費用への支出意欲は高まっているものの、日常業務の中で人を育てる取り組みは十分に広がっていないことが見受けられます。
こうした結果から見えてくるのは、研修の有効性だけではなく、「学ぶ機会をどこまで広げられるか」という課題です。OFF-JTは受講者から高く評価されており、OJTも若年層を中心に実施されていますが、中堅社員へのアプローチが手薄になっている点は見過ごせません。
この課題に対する一つの解決策は、中堅社員を「教える側」に置くこと自体を中堅社員の育成として位置づける視点です。「人は教えるときに最も学ぶ」と言われるように、後輩への指導経験は、自身のスキルや業務プロセスを言語化し、体系的に捉えなおす絶好の成長機会になります。
今後、人事担当者に求められるのは、「受講機会をどう広げるか」という視点に加え、単に「現場の指導負担をどう軽減するか」と考えるだけでなく、「指導経験そのものを中堅社員の成長機会として捉え直し、価値づける仕組み」を社内に作ることだと言えるでしょう。
育成を阻む「組織の課題」と「学ぶ側の課題」
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図35をもとにアデコ株式会社にて作成
事業所調査において、能力開発や人材育成に何らかの「問題がある」と答えた事業所は80.1%に上ります。この割合は平成20年度の72.1%から緩やかに上下を繰り返し、近年は8割前後で推移しています。
研修を用意するだけでは人は育ちません。何が育成を阻んでいるのでしょうか。組織と学ぶ側、それぞれの課題から探ります。
組織の課題(指導者不足・計画不足・時間不足)
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図36をもとにアデコ株式会社にて作成
人材育成に関して問題があると答えた事業所では「指導する人材が不足している」(59.5%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(51.6%)、「人材育成を行う時間がない」(45.5%)が上位を占めています。育成を担う「人」と「時間」、そして「定着」のいずれにも課題があるようです。
特に、「人材を育成しても辞めてしまう」という懸念については視点を変える必要があります。企業は「育成すると辞めてしまう」と恐れがちですが、裏を返せば「育成しなければもっと辞めてしまう」という現実があるからです。
実際、近年の若手社員の離職理由の上位には、「成長実感が得られない」「このままではキャリアを描けない」といった項目が常に挙げられています。
つまり、能力開発は人材流出のリスクを高めるものではなく、社員のエンゲージメントを高め、離職を防ぐための重要な「定着施策」として位置づけ直すことが求められます。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図11をもとにアデコ株式会社にて作成
また、指導者や時間の不足といった課題の背景として注目したいのが、育成計画の未整備です。事業内職業能力開発計画を作成していない企業は79.8%に上ります。誰を、いつ、何のために育てるかが明確でなければ、育成の判断や負担は現場に偏りやすくなります。
指導者不足や時間不足を解消し、効果的な定着施策として育成を機能させるためには、能力開発を現場任せにしない計画と体制づくりが不可欠です。
学ぶ側の課題(業務の多忙さ・費用負担・キャリアの不明確さ)
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図90をもとにアデコ株式会社にて作成
自己啓発を行う上で問題があると答えた労働者は78.8%、正社員では82.8%に上ります。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図91をもとにアデコ株式会社にて作成
正社員の回答では「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」が58.5%で最多でした。次いで「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」(27.4%)、「費用がかかりすぎる」(26.2%)と続きます。
また、「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」が21.6%、「自分の目指すべきキャリアがわからない」が20.0%でした。時間や費用の問題に加え、学ぶ方向を定めるためのキャリア支援も課題であることがわかります。
社員の自律的な学びを促すキャリア支援の実態
組織にも学ぶ側にも課題があることがわかりました。では企業は、社員の学びをどのように支えているのでしょうか。制度として何を用意し、それがどこまで機能しているのか。自己啓発への支援と、キャリアコンサルティングの導入状況から見ていきます。
自己啓発支援は進んでいるか
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図49をもとにアデコ株式会社にて作成
事業所調査では、社員の自己啓発を支援している事業所は81.9%に上ります。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図3をもとにアデコ株式会社にて作成
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図5をもとにアデコ株式会社にて作成
一方、企業調査で自己啓発支援へ「費用を支出した」と答えた企業は25.9%です。支出した企業でも、一人あたりの平均額は年4,000円と、OFF-JT(2万円)の5分の1にとどまります。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図16をもとにアデコ株式会社にて作成
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図18をもとにアデコ株式会社にて作成
時間面での支援も限定的であることがわかります。教育訓練休暇制度を導入している企業は5.7%、教育訓練短時間勤務制度は4.7%、教育訓練所定外労働時間免除制度は4.6%と、いずれも1割未満の低い数値でした。導入予定がない理由としては、「代替要員の確保が困難であるため」が46.0%と最も多くなっています。
自己啓発を支援している企業は多いものの、費用や時間を具体的に提供する仕組みは限られています。社員側の課題となっている時間と費用に、企業がどう応えるかが今後の課題となるでしょう。
キャリアコンサルティングは実施されているか
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図38をもとにアデコ株式会社にて作成
事業所調査では、キャリアコンサルティングの仕組みを導入している事業所は48.4%で、前回(49.4%)から1.0ポイント低下しました。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図46をもとにアデコ株式会社にて作成
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図99をもとにアデコ株式会社にて作成
キャリアコンサルティング未導入の理由として最も多いのは「労働者からの希望がない」(49.0%)でした。しかし一方で、個人調査を見ると、正社員の57.9%がキャリアコンサルタントへの相談利用を希望しています。
企業側ではニーズが乏しいと捉えられている一方で、社員側には一定の相談意向があることがわかります。企業が未導入の理由とする「労働者からの希望がない」という状況は、そもそも受け皿となる制度がないために、ニーズが顕在化していないとも考えられます。個人のキャリアに関する悩みは、会社側から「聞かれて初めて」表明されることも少なくありません。「希望がないから導入しない」というのは順序が逆だと言えるでしょう。
したがって、今後の課題は、まず企業側から相談機会をしっかりと整え、潜在的なニーズを引き出して実際の利用につなげることだといえます。
スキルアップと評価・処遇の連動
社員の学びを継続させるには、能力開発の成果と、評価や処遇とのつながりも重要です。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図52をもとにアデコ株式会社にて作成
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図53をもとにアデコ株式会社にて作成
事業所調査では、能力開発の成果を評価し、処遇に反映させている事業所は72.8%に上ります。正社員への反映方法としては「賃金(賞与・給与)の引上げ」(87.6%)、「役職等の昇進・昇格」(52.6%)が上位を占めています。
出典:厚生労働省 令和7年度『能力開発基本調査』 調査結果の概要 図74をもとにアデコ株式会社にて作成
一方、個人調査でOFF-JTが役に立ったと答えた正社員の回答を見ると、「現在の仕事の幅が広がった」(50.1%)、「仕事に対するモチベーションが向上した」(38.8%)など、仕事への効果は実感されています。しかしこれに対し、「賃金(賞与・給与)の引上げにつながった」は3.5%、「役職等の昇進・昇格につながった」は3.1%にとどまっています。自己啓発においてもそれぞれ5.9%、3.8%という結果でした。
企業側では「処遇に反映している」と回答する割合が高い一方で、社員側の実感は限定的です。人材育成に問題があるとした事業所の半数以上(51.6%)が「人材を育成しても辞めてしまう」を挙げていることも、この認識の落差と無関係ではないでしょう。
この「能力開発の成果を評価し、処遇に反映させている事業所」72.8%と個人調査で「賃金(賞与・給与)の引上げにつながった」3.5%という大きな落差は、処遇に反映させる制度自体の有無よりも、評価面談などの場において、何が評価されたのかが言語化されていないことが主因ではないかと考えられます。
制度として反映させるだけでなく、例えばフィードバックの機会に、本人の学びやスキルアップが今回の評価・処遇にどうつながったのかを少し意識して言葉で伝えてみることも有効な一手となり得ます。何を評価し、それがどのような処遇やキャリアにつながるのかを明示していくことが、学びを後押しする上で重要になります。
育成の壁を突破し、能力開発を成功させるために人事担当者が今取り組むべきこと
ここまでの結果を踏まえ、人事担当者が取り組むべきことを3つ挙げます。
① 求めるスキルの明確化とOJT/OFF-JTの計画的連携
事業内職業能力開発計画を作成していない企業は79.8%に上ります。誰に、いつ、何を身につけてもらうのかが定まらなければ、育成は現場任せになってしまいます。
今後実施したい取り組みとして「人材育成に関する基本的方針の策定」が36.6%と最も高い水準にあることからも、まずは育成方針の明確化と共有が出発点となるでしょう。人材流出を防ぐ定着施策として育成を機能させるためにも、計画的な体制づくりが欠かせません。
② 指導者不足を補う外部リソースの活用と実践機会のセット化
育成上の問題点として「指導する人材が不足している」と回答した事業所は59.5%で最多でした。外部研修やeラーニングなどを活用すれば、社内に十分な指導者がいない場合でも、効果的な教育を実施できます。
ただし、外部研修は「学んだことが職場で実践されるか」が最大の課題です。そのため、受講前の上司による目的づけと、受講後の実践機会の付与をセットにすることが重要です。社内の指導者はゼロから教えるのではなく、受講後の実務への落とし込みや個別フォローに注力することで、指導負担を抑えつつ効果的な育成体制を整えましょう。
③ 学びを継続させるキャリア支援と人事評価(処遇)のアップデート
キャリアコンサルティングの仕組みを持つ事業所は48.4%にとどまる一方、正社員の57.9%が相談を希望しています。まずは企業側から相談機会を整え、社員の潜在的なニーズを引き出すことが求められます。
また、能力開発を処遇に反映しているとする事業所は72.8%に上るものの、実際に賃金や昇進への効果を実感している社員は数%にすぎません。学びの継続には、評価面談などの機会に「何が評価され、どう処遇につながったのか」を言語化し、評価基準とキャリアとのつながりを明確に示すことが不可欠です。
まとめ
社員の成長を企業の成長につなげるには、単に研修を用意するだけでは不十分です。
本調査から見えてきたのは、学習機会の不足、指導者や時間の不足、育成計画の未整備といった構造的な課題です。社員側にも、業務の多忙さや費用負担、キャリアの不明確さといった課題があります。支援制度が整備されていても、必要とする社員に情報が届き、学びが評価や処遇につながる仕組みが機能していなければ、継続的な能力開発には結びつきにくいでしょう。
今後人事担当者に求められるのは、自社のどこに課題があるのかを正確に把握し、学習機会、育成体制、キャリア支援、評価・処遇を一体で見直すことです。能力開発を個人任せや現場任せにせず、会社の仕組みとしてしっかりと機能させることが重要です。
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