Created at: :
外国人労働者として日本で働いたときに払う税金の種類は?納税方法を解説
外国人の方でも、日本で課税対象となる所得を得ている場合は、日本に納税義務が生じます。日本で働いている外国人の方が税金の支払いをしないと、在留資格の更新にも影響するため、忘れずに支払うことが大切です。
この記事では、外国人の方が支払う日本の税金の仕組みをわかりやすく解説します。日本で働いている方や、留学中にアルバイトで収入を得ている方は参考にしてください。
この記事の目次
外国人でも日本で税金を払う必要がある?
日本に住んでいる外国人の方で、条件を満たす方は日本で税金を支払う必要があります。日本の所得税法では、個人を「居住者」と「非居住者」に区分しており、居住者はさらに「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれます。当てはまる区分によって、支払う税金が変わります。
この区分によって、日本に住んでいる外国人の方や、日本で働いている外国人の方は、一部の例外を除き「所得税」や「住民税」を払う必要があります。
自分がどの税金を払う必要があるかは、確認しておきましょう。なお、区分に関係なく、日本で生活すると必ず支払う税金もあります。
たとえば、消費税やたばこ税、ガソリン税がその一例です。商品・サービスの価格に税金が含まれているため、買う時点で、税金も払っていることになります。
ただし、一部例外もあります。たとえば、「非居住者」が免税店(duty-free shop)で決められた範囲で買い物をする場合は、消費税がかかりません。
「居住者」「非永住者」「非居住者」の違い
日本の「所得税」の対象は、「居住者」「非永住者」「非居住者」の3つに分けられています。あなたがどの区分に当てはまるかで、支払う税金の範囲が変わります。
所得税とは、1年間で得た所得にかかる税金のことです。日本では、所得が多いほど、支払う所得税も多くなる仕組みです。
居住者、非永住者、非居住者の区分の違いは以下のとおりです。
| 区分 | 概要 | 税金の支払い |
|---|---|---|
| 居住者 | 日本に住所がある人。または1年以上住んでいる人(非永住者を除く) | 日本での所得だけでなく、海外で得た所得の全てが所得税の対象になる |
| 非永住者 | 「居住者」のうち、日本国籍がなく、過去10年で日本に住んだ期間の合計が5年以下の人 | 日本で得た所得や、海外で得た所得を日本に送金した分が所得税の対象になる |
| 非居住者 | 「居住者」「非永住者」以外の人(日本に住所がなく、1年未満しか滞在しない人) | 日本で働いて得た所得や国内での報酬のみが所得税の対象になる |
たとえば、日本で働けるビザを取得して、日本国内に住みながら働いている外国人の方や、日本に1年以上住んでいる留学生は「居住者」に当てはまります。居住者のうち、条件を満たす外国人の方は「非永住者」に当てはまります。
居住者や非永住者以外の方は「非居住者」です。ただし、1年未満の滞在でも、生活の中心が日本にあると判断されれば、居住者や非永住者になるため注意しましょう。生活の中心が日本にあるかどうかは、客観的な事実をもとに判断されます。
日本の税金の基礎知識をわかりやすく解説
日本の税金に関する基礎知識を解説します。
- 直接税(ちょくせつぜい)・間接税(かんせつぜい)とは
- 源泉徴収(げんせんちょうしゅう)とは
- 年末調整(ねんまつちょうせい)とは
- 確定申告(かくていしんこく)とは
どれも日本の税金を理解するために大切なものなので、理解しておきましょう。
直接税(ちょくせつぜい)・間接税(かんせつぜい)とは
日本の税金は「直接税(ちょくせつぜい)」と「間接税(かんせつぜい)」に分けられます。
| 区分 | 意味 | 具体的な例 |
|---|---|---|
| 直接税:direct tax | 税金を納める人が、直接支払う税金のこと | 所得税、住民税、自動車税、固定資産税 |
| 間接税:indirect tax | お店や企業が商品・サービスの購入者から税金を預かって支払う税金のこと | 消費税、たばこ税、ガソリン税、酒税 |
たとえば、所得税や住民税は、あなたの収入によって決まり、あなたが直接国に支払う税金です。
一方、あなたがコンビニやスーパーマーケットで食べ物や飲み物を買うときは、レジで消費税を含めた金額を支払います。
お店側(コンビニやスーパーマーケット)が、お客さんから預かった消費税を国に支払うため、間接税といいます。
源泉徴収(げんせんちょうしゅう)とは
所得税は、あなたが支払う「直接税」です。しかし、あなたが会社員として働いている場合は、会社側が所得税を計算して、自動的に給料から差し引いてくれます。
給料から差し引かれる金額は、「このくらいの給料なら、このくらいの所得税がかかるだろう」と考えて計算した金額です。
先に支払う税金を計算して、給料から税金の分を差し引く仕組みを「源泉徴収」と呼びます。
源泉徴収により、あなたは自分で支払う税金の計算をする必要がありません。また、税金の支払いを忘れる心配も少なくなります。
年末調整(ねんまつちょうせい)とは
所得税は、1月~12月までの1年間で得た所得に対してかかる税金です。源泉徴収で差し引かれる金額は、あくまでも「このくらいの所得税がかかるだろう」と考えて計算した大まかな金額です。
源泉徴収で差し引かれた金額は大まかな金額のため、本当に支払いが必要な正しい金額とずれることがあります。
年末調整とは、その年の最後の月(12月)に、正しい所得税を計算する手続きのことです。
もし年末調整により、源泉徴収で差し引かれた金額が、正しい税金の金額より多いことがわかった場合は、差額が戻ってきます。反対に、源泉徴収で差し引かれた金額が、正しい税金の金額より少なければ、年末調整のタイミングで不足分が給料から差し引かれます。
つまり「年の最後(12月)の給料で、所得税を正しく調整するための手続き」が年末調整です。
確定申告(かくていしんこく)とは
確定申告とは、1年間に得た所得を計算して、正しい金額の税金を納めるための手続きです。会社員であれば、納税の手続きは会社が行ってくれるため、基本的に確定申告をする必要はありません。
確定申告は、主に自分で事業をしている人やフリーランスが行う手続きです。ただし、会社でもらっている給料以外に収入がある場合は、確定申告で正しい税金を自分で計算する必要があるため注意しましょう。
たとえば、会社の給料とは別に、株で収入を得ている人や、副業のアルバイトで給料をもらっている人などは確定申告が必要な場合があります。
確定申告をしなければならない人の具体例は以下のとおりです。
- 給与を2箇所以上から受け取った人
- 給与以外の所得金額の合計が20万円を超えている人
- 給与の年収が2,000万円を超えている人
外国人の方で、ひとつの会社からしか給料を得ていない場合は、基本的に確定申告の必要はありません。
なお、確定申告の細かなルールは年によって変わることがあります。確定申告は、外国人の方にとっては理解がむずかしい部分もあるため、確定申告が必要な外国人の方は自治体の窓口で相談することをおすすめします。
外国人の方に関係する主な税金
外国人の方が日本で生活するときに関係する主な税金を紹介します。
- 所得税(しょとくぜい)
- 住民税(じゅうみんぜい)
- 消費税(しょうひぜい)
所得税(しょとくぜい)
所得税(income tax)とは、所得にかかる税金のことです。
一般的な会社員であれば、働いて得たお金が所得税の対象になります。また、投資や副業のアルバイトで得たお金も、所得税の対象です。
所得税は、所得の金額に応じて決められたパーセンテージで計算されます。また、所得税には「控除」と呼ばれる税金を軽くするための仕組みがあります。
たとえば、あなたが働いて年間300万円の給料をもらったとします。所得税は、300万円全てに対してかかるわけではありません。
所得税を計算する前に、社会保険料や医療費の控除、家族がいる場合の控除など、それぞれの控除金額を差し引きます。
差し引いて計算した金額をもとにして所得税を計算するため、控除によって支払う税金が少なくなる仕組みです。
住民税(じゅうみんぜい)
住民税(Resident tax)とは、毎年1月1日に住所のある都道府県や市区町村に納める税金のことです。たとえば、あなたが1月1日に東京都に住んでいる場合は、東京都に住民税を支払います。
あなたが支払った住民税は、住んでいる地域の学校やゴミの収集、道路の整備などに使われます。住民税は、前年の所得によって計算されます。住民税は、前年の所得が多いと、その年に支払う税金の金額も多くなる仕組みです。
消費税(しょうひぜい)
消費税(consumption tax)とは、商品やサービスを買うときにかかる税金です。
2026年3月時点で、日本の消費税の税率は10%です。ただし、食品や飲料の一部は「軽減税率」と呼ばれる仕組みにより8%に設定されています。
消費税は商品やサービスの価格に含まれて売られているため、支払うための特別な手続きは必要ありません。
なお、免税店(duty-free shop)では、外国人旅行者向けに消費税を支払わずに商品が買える仕組みがあります。
ただし、免税店は外国人観光客をはじめとする短期滞在者(非居住者)を対象にしているため、日本に長く住んでいる外国人の方は免税の対象外です。
外国人の方が日本で納税する方法
続いて、外国人の方が日本で納税する方法を紹介します。日本での納税方法は、大きく分けて以下の2つです。
- 特別徴収(とくべつちょうしゅう):給料から差し引かれる
- 普通徴収(ふつうちょうしゅう):自分で支払う
特別徴収(とくべつちょうしゅう):給料から差し引かれる
特別徴収とは、給料をもらうときに、給料から自動的に税金が差し引かれる制度をさします。外国人の方でも、日本で働いている場合、所得税は基本的に源泉徴収で、住民税は特別徴収で支払われます。特別徴収によって差し引かれている税金の金額は、会社からもらえる給料明細に書かれています。
特別徴収で税金を支払う場合は、あなたの代わりに会社が税金を支払う手続きを行ってくれます。そのため、あなたが自分で税金を支払う手続きを行う必要はありません。
普通徴収(ふつうちょうしゅう):自分で支払う
普通徴収とは、自分で税金を計算し、税務署やコンビニなどの税金の支払いができる窓口で税金を支払う方法をさします。
たとえば、住民税を普通徴収で支払う場合、「住民税を払ってください」という通知が市区町村(自治体)から送られてきます。通知の案内に従って、自分で税金を納める手続きを行わなければなりません。
普通徴収は、主に自営業やフリーランスの人が行う納税方法です。ただし、外国人の方でも、アルバイトで働いている勤務先が納税の手続きを行ってくれない場合は、自分で支払いを行う必要があります。
外国人の方が日本で税金を払わなかったらどうなる?
外国人の方でも、日本に住んでいる場合や日本で所得を得ている場合、所得税や住民税、消費税などの税金を納めることは「義務(obligation)」です。
税金の支払い義務がある方が、税金を支払わなかった場合は、法律に従ってペナルティが課されます。たとえば、所得税を申告しなかったり納付を遅らせたりすると、遅れたことに対する税金「延滞税」や、追加の税金がかかります。
また、故意に納税を逃れると、「脱税」と呼ばれる犯罪に当てはまり、刑事罰として罰金や拘禁刑の対象になることもあります。
さらに、外国人の方が税金を支払わないと、ビザ更新や永住権申請などの手続きに影響します。
税金の支払いは法律で決められた義務であるため、必ずルールを守って支払いを行いましょう。
外国人の方で日本の税金の支払いが免除・軽減されることはある?
外国人の方を対象に、日本での税金の支払いが免除・軽減されるケースがあります。免除・軽減されるケースの具体例を、以下の3つのパターンに分けて紹介します。
- 所得税の免除
- 住民税の免除・軽減
- 租税条約
所得税の免除
所得税には、「基礎控除」や「給与所得控除」と呼ばれる、税金を少なくするための仕組みがあります。控除される金額は、得ている収入によって変わります。
2026年時点では、少なくとも160万円の控除が受けられます。つまり、収入が160万円以下であれば、課税の対象になる所得金額が0円になるため、所得税も発生しません。
一般的な会社で働いている方の場合、160万円以下になることは難しいかもしれません。しかし、社会人ではなく、アルバイトをしている留学生の方で、毎月の収入が少ない方は、所得税がかからないことがあるでしょう。
また、「扶養控除」「医療費控除」「住宅ローン控除」など、控除項目も複数あります。外国人の方にとって理解が難しい場合もあるため、詳しい計算は会社の担当者や自治体の窓口に相談しましょう。
住民税の免除・軽減
住民税は、前年の所得によって支払う金額が決まる税金です。原則として、前年の所得が一定基準以下の場合、住民税が非課税もしくは軽減されます。非課税とは、税金が発生しないことです。
あなたの所得が一定の金額以下の場合、金額に応じて住民税が免除・軽減される可能性があります。免除・軽減される金額の割合は、住んでいる地域によって異なることがあるため、所得が低く、住民税の支払いが難しい方は、自治体の窓口に相談してください。
なお、住民税は以下のケースに当てはまる場合でも、免除・軽減される可能性があります。
- 国の補助金(生活保護)で生活している人
- 病気やケガで税金を支払うことが難しい人
- 災害によって被害を受けた人
- 納税する人が亡くなった場合
租税条約
租税条約とは、日本と他国の間で二重課税(同じ所得に二度税金がかかること)を防ぐための取り決めです。
日本と租税条約を結んでいる国の国籍をもつ方は、特定の所得に対する税金が軽減・免除される可能性があります。
租税条約によって税金の軽減・免除を受ける場合は、事前の届出が必要です。日本で働く外国人の方は、自分の国と日本の間に条約があるか、確認しておきましょう。
出典:財務省「租税条約に関する資料」
会社を退職したり日本から出国したりするときに税金はどうなる?
住民税は前年の所得に応じて支払う税金です。同じ会社で働いていると、「特別徴収」により毎月の給与から、前年の所得で計算された住民税が自動的に差し引かれます。
しかし、会社を辞めた場合は、住民税の残りを自分で支払う「普通徴収」に切り替わり、税金を支払う義務がなくなるわけではありません。
自分で税金の支払い手続きをしたくない場合は、会社を辞める前に「代わりに税金の支払い手続きを行ってください」と伝えることもできます。
ただし、会社に残りの住民税を支払ってもらう場合は、「一括徴収」と呼ばれる、残りの金額をまとめて払う方法になるため、お金に余裕がない方は注意が必要です。
また、会社を辞めたあと、日本を出国することになっても、住民税を支払う義務は残ります。出国するまでに住民税を支払う時間がない場合は、自分の代わりに税金の手続きを行ってくれる人を決めて、住んでいる地域に伝えなければなりません。
詳しい手続きの方法は、住んでいる地域の自治体窓口に問い合わせましょう。
まとめ
外国人の方にとって、日本の税金は難しく感じるでしょう。会社で働いているなら、会社があなたの代わりに税金の計算や支払いを行ってくれるため、あまり心配する必要はありません。
しかし、複数の収入がある場合や、自営業の場合などは、税金の計算方法や支払方法が、会社員とは異なります。
税金を払わないと、罰金(延滞税や追徴課税)が発生するだけでなく、在留資格の更新に影響するため注意が必要です。
税金の支払いについてわからないことがあったら、会社の人に相談したり、自治体の窓口に相談したりすることをおすすめします。
Adeccoでは、日本で働きたい外国人の方と、日本の会社をつなぐサポートをしています。たくさんの外国人の方をフォローしてきた経験があるので、日本での生活に困ったときも、丁寧に相談に乗ります。
日本で安心して生活をはじめたいなら、Adeccoへぜひご連絡ください。